San Diego 通信 (2011)
目次
2011-07-09 (Sat): San Diego の 5年(オタク環境編—その 3)2011-07-02 (Sat): San Diego の 5年(オタク環境編—その 2)
2011-06-11 (Sat): San Diego の 5年(オタク環境編—その 1)
2011-05-28 (Sat): San Diego の 5年——読書(2)
2011-04-30 (Sat): San Diego の 5年——読書(1)
2011-03-20 (Sun): NPR の日本報道
2011-03-12 (Sat): 東日本大震災
2011-02-19 (Sat): コーヒー難民
2011-02-06 (Sat): 生兵法は大怪我の元
2011-01-22 (Sat): カイロプラクティック初体験
2011-01-16 (Sun): Kindle 3 (その 1)
2011-01-08 (Wed): 正月休み
2010 年分
2009 年分
2008 年分
2007 年分
2006 年分
2011-07-09 (Sat): San Diego の 5 年(オタク環境編—その 3)
先週は Audio と題して書き始めたものの、結局、専ら iPod nano を使っています、となった。正に羊頭狗肉であるが、 MacPro のためのスピーカ他に全く注意を払わなかった訣ではない。MacPro には Audio 用「光インターフェイス」がついているので、 「有るものは使わなければ」と思い、 光インターフェイスのオーディオ機器を探してみた事もある。 しかし残念ながら、全く、と言って良い程そんなものは見付からなかった。その間、どこで拾ってきたのかも思い出せない Logitech の安物でお茶を濁していたのだが、結局 5 年間それで済ませてきたところを見ると、然程の不満も無かったと見える。 (要は、要求レベルが低い、という事。) しかし、考えてみると、相当の音量が出せるという稀な環境だったのだから、 このあたりに凝ってみる良いチャンスだったかも知れない。
TV/Video
赴任してアパートに移ってから、数日しかアパートの IT ルームのごやっかいになった記憶がないから、かなり早期に CATV (Time Warner) と契約して、インターネット接続を確保した筈なのだが、 どうやって TV を見ていたのか、どうしても思い出せない。 ひょっとして、TV は見ていなかったのかも。事程左様に TV への関心は低かったが、MacPro を買ってから、TV 視聴に挑戦する事を思い立った。 Linux で散々苦労させられたので、まずは capture board を物色、と思ったが、Mac の世界ではそんな事は必要なく、 近所の Apple ストアに色々有るのを選んで買ってくれば良いのだった。 が、やっぱり最初は失敗した。Elgato EyeTV 50? という小さい(しかし安くはない)のを選んだが、 これは、安定性に欠けた——連続運転ができない。
EyeTV 250 Plus——アナログも
ディジタルも受信できる優れ者
ニュース等は期待した程面白くなかった(よく分らなかった?)が、 古い映画をよく見るようになった。特に TMC (Turner Classic Movie) チャンネルは感動もの。 英語サブタイトル付きの「七人の侍」とか「雨月物語」などには、驚き、 かつ感動した。
しかし、S/W (EyeTV) か、外部のサイトか、どっちのせいか分らないが、 しょっちゅう番組表がアップデートできなくなる。 こうなると、そうそう TV を見る訣ではないから、良い番組に行き当らず、 自然に足が遠退く事になる。
映画/DVD
そんな具合だから、TV ドラマの Bones なんかも、自然に DVD で見る事が多くなった。もともと、古い映画の DVD を探して観てみたい、と思っていた。 が、やってみると、なかなかこれが難しい。 ひとつには、邦題の多くがとんでもなく原題と離れている事、 もうひとつはその邦題さえ記憶がとても曖昧な事。 しゃかりきになって探している内は、なかなか見付からなかったが、 しかし、そのうち、バーゲン棚でひょっこり、という幸運が何回も有った。 その御陰で、結構目標は達成できた。(米国滞在の唯一の成果かも。)
- "Battle of Britain" (☆)
- "Combat" (☆:玉石混淆)
- "The Silence of the Lamb" (☆)
- "Battle of the Bulge" (☆)
- "Old Man and the Sea" (☆)
- "On Golden Pond" (「黄昏」)
- "Colombo"
- "Attack"(「攻撃」)
- "Anzio"(「アンツィオ大作戦」)
- "The Blue Max" (☆)
- "Groundhog Day"
- "Casablanca" (☆)
- "Houseboat"
- "Roman Holiday"(☆)
- "Das Boat"(☆)
- "The Man with No Name (trilogy of 'A Fistfull of Dollers' (☆)and others)" (「荒野の用心棒」「夕日のガンマン」「続・夕日のガンマン」)
"A Fistful of Dollers" が 「荒野の用心棒」?
学生時代(中学時代を含む)に観た戦争映画、 その後の米国滞在で見掛けた映画等だが、 改めて観て感動が蘇えるもの(☆)も、そうでもなかったものも有る。 特に Combat は、「やっぱりええなぁ」と思うのが有る一方、 「長く続けすぎた?」と思えるのも多かった。(単に CC (Closed Caption) でないのが痛かった、という噂もある。)
勿論、これらの「指名手配」の他にも色々物色した。 で、新しく買った DVD にも然程外れがない。 "Gladiator", "Pretty Woman", "Sniper", "Blood Diamond", "Red Cliff", etc. etc. はどれも面白かったし、何度も観たのもある。 (面白く無かったのは記憶に残ってない、という事かも知れないが。) 中でも、TV シリーズを DVD にしたのは掘り出しものが多い。 上の "Bones" の他にも、"Commander in Chief", "Robin Hood (BBC)" 等。
近くの Block Busters や Target でしょっちゅう「特売」が有ったが、 そこで「2 枚で $5」なんてのは、まあ「外れ」も多かったような気がする。 (しかし、Columbo は高かったんだけどなぁ。)
そうこうしているうちに、ここでも iTunes 革命…… Synopsis が読めて、Preview が観えて、おまけに Genius の「お勧め」も結構的を射ていたりする…… 最近では自然と TV で録画するのも、DVD を買うのも回数が減ってしまい、 専ら iTunes ストアの映画を借りるか買うかするだけ、になってしまった。 それなら、日本に住んでいたって、できるんだよな。
2011-07-02 (Sat): San Diego の 5 年(オタク環境編—その 2)
MP3 Player
赴任前に、 TalkMaster II というのを買って、「ぜったい・音読【挑戦編】」 を繰返し聞いていた。残念ながら、「英語の上級回路」 はできなかったようだが、 おかげでダメダメだった聞き取りが少しは上達したような気がする。 いや、Player の話でした。それまで、専ら Walkman だったので、 胸ポケットに入るのに、ラジオも聞ける、というので大層気に入った。 しかも、Linux と接続して、CD のクリップを転送する事もできる (それで、上記の「ぜったい・音読」も聞けたのだった) ……ワオ!と思いましたねぇ。 が、これ、時々ハングしてリセットが必要になる。 おまけに、とうとう壊れてしまって、 サン電子さんに送り返す、という事もあった (2005-12)。 その後は、大したトラブルもなく、赴任後も半年くらい使えたと思う。 その間、プログラムのアップデートの勧めなど、 メールベースでのサポートが有って、律儀な会社だ、という印象を持った。が、残念ながら、NPR (FM) が聞けない……。勿論、目覚まし CD ラジオで聞けるし、車のラジオで聞けるのだが、 同じ番組を録音して繰返し聞く、というのができない。 で、MacPro を買ってからは、その上で Internet 上のラジオ放送を、録音する、という事を始めた。 確か RadioRecorder.app というアプリだったと思うが、 しかしこれ、OSX をアップデートしているうちに、使えなくなってしまった。 ソースがあったので、何とかしようとしてみたが、結局歯が立たず(Xcode を使った、最初で最後の経験:-p)。
しかし、その内に、繰返し聞きたいプログラムは、iTunes で Podcast の形で自動ダウンロードできる事に気がついた。 これはなかなかのものであった。何より音質が良い(上の RadioRecorder は、音質が今一で、しかも雜音が入る事があった。)
めでたしめでたし、であるが、しかしまたそのうちに、 これを持って歩きたい、という欲望が出てきた。で、iPod nano (2nd gen) を買ってみた。 最初、なかなか操作法に馴染めなかったが、 それに慣れさえすれば、これはなかなか優れモノである。 毎朝、クレードルに挿しさえすれば、iTunes が Download しておいてくれた定時ニュース他の Podcast を sync してくれる。 これにはちょっと感動したのだった。
Lanyard を着けた第二世代 iPod nano。
まだ現役也
Audiobook
期間の割に、あまり読書の方は捗が行かなかったが、その理由の一つは Audiobook に血道を上げた事かも(後の一つは映画と DVD。)当然最初はカセットテープ。嵩張るし、扱いが大変なのだが、 何と Clarke の "3001" をこれで聞いた記憶がある。 (実は、どうやって聞いたかは憶えていないのだが、引越し荷物の中に、 カセットが一揃入っていたのだった。)
しかし、赴任してからは、CD 一本やりになった。 (そもそも、Walkman は持って行かなかったか、 すぐに壊れたかしたんだと思う。)最初は CD Player で聞いていた。CD をとっかえひっかえして、飽きずに聞いた。 Clive Cussler の "The Navigator" や "Dark Watch"、 また、King の "Cell" 等。
そのうち、iTunes で CD の clipping ができる事を知り、 他の音楽 CD とともに、Audiobooks もみんな iTunes から再生できるようになった。 もともと、そんなふうに使われるようには作られてないのだが、 それでも使い勝手は飛躍的に改善された。 特にテキスト(つまり、元の本)を読みながら、 というのがより容易になった。 あと、一旦こうなると、iPod に転送するのが容易になり、 読む機会が増えた。このお陰で、Card の "Empire" 他は最も多く繰返し聞いたのではないかと思う。
Crighton, "Next" の MP3 版
が、そのうち iTunes Store で、Audiobook を売るようになった。 そこから買うと、iTunes の中で、Music ではなく Books のジャンルにストアされるようになって、本一冊が、 一つのアイコンで表わされるようになり、また、章の頭出しを、 Controls -> Next/Previous Chapter でできるようになる。 が、しかし、それでも iPod-nano の方が優れていて、 progress bar が、章ごとに区切られて表示される。 (何で、iTunes もそうならないんだろ。)
環境がそうなってからは、面白そうだ、と思った本は、 Audiobook も一緒に買って、聞くようになった。 Harry Potter シリーズ、Twilight Saga シリーズ、Larsson の Lisbeth Salander シリーズ等々。 小説だけでなく、Dawkins, "God Delusion," Shubin, "Your Inner Fish," Hawking, "A Brief History of Time" 等も読みながら聞いた。 流石に敷居が高いが、まったく不可能でもない。 この頃では、Audiobook と一緒でないと、 読み始めるのが億劫と感じる事もある。
2011-06-11 (Sat): San Diego の 5 年(オタク環境編—その 1)
Macintosh
今となっては思い出すのも難しいが、赴任前の自宅マシンは 694D Pro (MS-5321、二枚目) を使った自作機だった (Linux FC-3)。 自宅サーバの座は TP X22 に譲っていたが、デスクトップ機としては立派に現役だったので、 どうして SD に連れて行かなかったのか解らない。 大きくて重い上に、信頼性がイマイチだったからか?で、赴任後は借り物の DELL Optiplex GX270 (FC-4) でとりあえずをしのぎ、その内に新しい Linux 機を買うつもりだったようだ。実際、Dual Opteron 機に狙いを定めたのだが、 自分のチョンボと、その後の USPS (U.S. Postal Service) の怠慢で、結局小切手が届かず、そうこうしているうちに、 MacPro になってしまった (2006-09)。 ( その顛末はこちら) その後は「小切手が届かない」なんて事は一度も無かったので、 ほんの偶然のことから Mac に出戻った訣だが、 その事をちっとも後悔していない。むしろ幸運だったと思っている。
何しろ、周辺機器との相性や、 それらのドライバの事を思い患う必要が殆んど無い(HP Photosmart 3210 には、ちょっと梃摺ったが……。) その上にオタク環境も比較的簡単に作れたので、 デスクトップ機としては、完全に Linux と置き換えても問題ない。 Journal を読み返してみると、 Linux で音声やビデオを再生するのがどんなに大変かを改めて認識でき、 余計そう思えるようになった。
なので、ますます Linux や Windows と疎遠になってくる。 当初は VMware Fusion や Parallel Desktop を使って Mac 上で Linux や Windows 環境を作る事に血道を上げた事もあったが、 今ではすっかり忘れてしまっている。 (Parallel に至っては名前も思い出せなかった。) そもそも、必要になる事が滅多にない……。 殆んど何でも MacOS X でできるからで、 最後まで残ったのは MS Office を使う事だったが、 これも iWorks や OpenOffice.org の互換性が上がったので、然程使わなくなった。 (英文版なら、略完璧な互換性が有る。 しかも、これらの方が、MS Office より使い易い。) また、Mac 上の X11 も今や忘れられた存在になりつつある。 Emacs が Emacs.app で置き換えられ、MLterm が Emacs の Term で代用されるようになって、X11 を要求するアプリケーションの内、 現在使っているのは GIMP のみであるが、これも最近は然程出番が無い。
少し後になるが、会社で Mac mini を買ってもらった。 元々は CUDA で H.264 デコーダを構成するため、だったが、 後には Django アプリケーションのサーバになった。 その間、その開発環境でもあった訣であるが、 もう二年近くも全く問題無く動いている。 これは大したものである。多分、HTTP サーバ、SSH サーバとしても大丈夫だろう。だとすれば、ThinkPad + Linux サーバの取り柄は、APC(つまりバッテリ内蔵という事:-p)のみ、という事になる。
一方、Laptop 機はつい最近まで、ThinkPad + Linux だった (TP X23 -> X200)。MacBook にも食指が動いたが、何故かそちらへ一歩を踏み出せなかった。 多分、重すぎる事と「キータッチ」が気に入らなかったのだと思う。 しかし、昨年の暮れ頃になって X200 を他の用途に使う事を余儀なくされ、 ちょうどそのころ「大安売」をしていた MacBook Air を手に入れた。 使ってみると、これがなかなか良い。 始めから Skype で TV 通話できたし、 つまり音声もビデオカメラも問題なく動いたし、 sleep に入る事、それから起きる事が非常にスピーディ。 X22, X23, X200 と散々苦労したのに、WiFi, sound, X11, Power Control 等の Desktop 環境については結局「完全」な動作を得られなかった事を思えば、 MBA はウソみたいに簡単。とりわけ最後の四苦八苦が X200 + Ubuntu-10.10 の「sleep 時の暴走」 だったから、MBA で蓋を開け閉めしたら事も無げに(確実に)、 Sleep に入り、また迅速にそこから起きてくれる、 という事が嬉しい驚きであった。 懸案だったキータッチの方も、帰国後 MacPro が帰ってくるまでの二月くらいの間メインマシンとして使ってたが、 然程気にならなかった。 (しかし、MacPro が着いて、これを HHK Pro2 と一緒に使うようになったら、 やっぱり勝負にならない。)
何だか、Macintosh 讃!みたいになったが、でもやっぱり「なんだかなぁ」は有る。 自分にとっての「その最たるもの」は、mini Display Port だろう。 それを MacBook や MacBook Air に付けるのは尤もな事だけど、 現在の唯一の Apple 製ディスプレイである Cinema 27" Display がそのポートしか持っていないというのは、かなりな「とんでも」だと思う。 昨年 10 月の発売以来、相当不評を買っているが、 Apple は対策を打つつもりは無いようだ。(24" を復活するだけでも良いんだけどなぁ。)
2011-05-28 (Sat): San Diego の 5 年——読書(2)
少々場違いながら…… 児玉清さんの御冥福をお祈りします。氏の著書は「寝ても覚めても本の虫」しか知らないが、 これには甚く感心した。 学者・研究者ならともかく、多忙極まりない俳優をやりながら、 よくもあれだけ外国語の本を読めるものだ、という言わば一方的(片思い的?) なライバル意識か。
(「寝ても覚めても」は、2007 年に出たのでそれとは関係無く) 赴任当初には、できるだけ英語の本に集中しよう、と決心したのだが、 やはりそれだけでは、立ち行かない……。 或る日、俄然日本語の本が読みたくなり、一旦堰が切れると、 後は成り行きまかせで…… だが、罪悪感のせいか、殆ど読書日記に書き残していない。
最初に「自戒の割れ目」に付け込んできたのは:-p、 檀ふみのエッセィ。阿川佐和子との共著「ああ言えばこう嫁行く」 「ああ言えばこう食う」で嵌ってしまって、 「まだふみもみず」「ありがとうございません」「けっこん・せんか」 「父の縁側、私の書斎」……とかなり読んでしまった。 何しろ面白い。自身の失敗談や家族友人の「棚卸し」(悪口?)が多いのだけど、 ハチャメチャなのに、下品なところがなく(野坂昭如は「丈高い」と評していたな) 繰返し読むに耐える。
その近くにブックオフができるまでは、 本当に小さな三省堂さんが唯一の日本語の本屋さんで、 新しく買える本としては文庫本が主だったので、 上の檀さんのエッセィはともかく、他のは勢い手持ちの本の再読になる。
漱石・龍之介を幾つか読み返した。 渡部先生の仰る事はまゆにつばして聞く事にしているが、 「学生時代に漱石が分る筈がない」 というあたりだけは本当だった。 ともあれ、漱石の評論(「漱石文明論集」「文学論」)も小説(「猫」「三四郎」 「それから」「門」……「明暗」)も面白い上になんだか無闇に感心してしまう。 ちっとも古くない。でも、最晩年の小説(「明暗」)は、 古くないかわりに、 なんだか新しい(現代の)「げんなり」も写しているようで、 あまり面白くなくなった。 青空文庫も有難いが、全集版で読む事の良さを再認識した。
再読した芥川のエッセィや小説にも結構感動したものが多い。 (「或る日の内蔵助」「侏儒の言葉」……。) が、「邪宗門」はフラストレーションを再体験させられた。 そう思う人は少なくないらしく、思いがけず、 ネコさんと カニさん の面白いブログ記事を読む事ができた。 ますます「誰か続きを書いてくれぇ!」という願望が……
鷗外も(何しろ全集を持てあましているので)読もうとしたが、 然程感心しなかった(「澁江抽斎」「即興詩人」「普請中」「かのやうに」……)。 で、あまり「はか」が行ってない。 (既に全部読んだ芥川や漱石の全集と違って、 こっちは未読の巻の方が多いので、 初めて読むものが多いのだが、どうも引き込まれなかった。)
そんな事をしていたせいか、歴史的假名遣いに興味が出てきて、少し練習してみた。 (萩野貞樹「旧假名遣ひで書く日本語」、福田恆存「私の國語教室」) SKK のお陰か、すぐに「そこそこ」は書けるようになったのが、なかなか極められない。 しばらくは、投げ出したりまた始めたり、とやっていたが、 しかしそのうちなんだか憑き物が落ちたかのように、すっかり興味が無くなった。 原因その一は、永井荷風。 文語や正字正假名に少し慣れたと思えたので、 「断腸亭日乘」や小説(「うでくらべ」「あめりか物語」)を読んでみたが、 これがまた何が良いのか解らない。 単に、金持ちの放蕩息子が好色親父を経て吝嗇爺になった、 というだけの話のように思える。 原因その二は、萩野さんを初め、旧假名で発信される情報・意見(の一部 分)—— なんとも浅薄というか牽強附会の論ばかりで、態々旧假名の信用・評判を落しているようにも見える。
それではずみがついて?、日本語や漢字にかかわる本も読むようになった。 と言っても、既に持っている本を読み返した事の方が多いのだが。 (鈴木孝夫「日本語と外国語」、高島俊男「漢字と日本人」、 藤堂明保「漢字の話」、斎藤美奈子「文章読本さん江」、 大野晋「日本語の起源」、金文京「漢文と東アジア」……) それらを買った頃は、その手の本はまどろこしくて、読み通す事が稀だったのだが、 再読してみると、結構面白く読めた(トシのせいなんやろか。)
漢詩や和歌の本にも挑戦(再挑戦)してみたが、はかばかしい成果は得られなかった。 吉川 幸次郎「新唐詩選」は、再読しても素晴しいと思えたが、 さらに手を拡げようとすると、何だか面白くない……。 多分「新唐詩選」に有るようなのは、傑作中の傑作で、 それ程の作品は他にはそうそう転がっていない、という事だろう。 一方、かねてからの懸案?だった「音聲による漢詩」は、意外にあっさりと実現した。 CD を買おうかと迷っているうちに、Utube に有る事を教えられた (台湾の幼児向けらしい。) 早速杜甫や李白を繰返し聞いてみるが、 (最初期待した)「脚韻の良さが体感」できるどころか、その音に惹かれる、 というレベルまでも行かなかった。 (英語でそうなるのにも時間が掛ったので、 もうちょっと頑張れば良かったのかも知れないが、 何しろ時間が無い……。 というか、なまじ「読み下し文(訓読?)」に慣れてしまったのが良くないかも)
ここまでは「英語に専念」の決心が破れて、ついつい、という話だが、 実は、最初から読み返すつもりで、San Diego に引越し便で送った本もある。 主に文庫版のチャンバラ小説。岡本綺堂「半七捕物帳」シリーズ、 池波正太郎「剣客商売」「鬼平犯科帳」の各シリーズ等々。 もともと寝っ転がって読むつもりだったのだが、 無精な私は実際ベッドの中でよく読んだ。 (こんな風に休日を始めてしまうと、一日が実に短かい。) 中でも、「剣客商売」が最後まで残った。 これは長いシリーズなので、後の方になると「どこかで読んだような」 が頻出するが、それでも飽きずに繰返し読んだのは、よっぽど好きなんだと思う。
藤沢周平のも最初の荷物に入っていたが、後で買った方が多い。 (映画になる度に、三省堂さんで平積みになるので……。) 秘剣シリーズはとても面白かったが、後の方になると流石に飽きてきた。 でも、「清左衛門残日録」(—ざんじつろく)は、良かったなあ。 チャンバラ小説としてよりも、初老の武士の述懐が身につまされる、 という面が有ったにしても。 その他にも、少しだが、新しい作家にちょっかいを出した事があるが、 然程感心したものは無かった。
これらが面白過ぎたのか、最初から「読んでやろう」と意気込んで持参した、 新田次郎の長編(「蒼穹の昴」シリーズ)は、結局読み通せなかった。 「霧笛荘夜話」や「憑神」「お腹召しませ」なんかは、 新しく買って読んだ(しかもとても面白かった)のだが。 なんか、長編を読み通す根気が無くなったのかなあ。
他にも人に勧められて、読み始めた作家には、東山圭吾、恩田陸、等々。 東山さんは、初期に読んだ本(「探偵ガリレオ」「卒業」)が合わなかったのか (「赤い糸」なんか、最初の数ページでレーザだって分っちゃったよ)、 その後読んだ作品もどうも感心できない。一方、恩田さんは 「どうしてこんなささやかな話に惹かれるのか」という新鮮な驚きを与えてくれた。 実際、サスペンス、ハード SF、チャンバラが大好きという自分が、 なんで高校の学内行事の話を面白いと思うんだろうか。
2011-04-30 (Sat): San Diego の 5 年——読書(1)
実はもう、とっくに San Diego を離れている。 最後の数週間は何だかんだと忙しく (何だかんだと理由をつけて引越し準備をサボったからで、むしろ自業自得)、 来し方を振り返る余裕もなかったなぁ。 おまけに、帰国してすぐ悪い風邪を引いてしまって、一週間くらいも寝込んだので、 そのせいもあってか、もうすっかり東京人というか東京の山奥の人。 忘れないうちに、なんやかやを書き残しておこう。小説
勿論、英語の本を沢山読もう、と志したのだが……。A. C. Clarke の "Time's Eye", "Time Odyssay 2", "Firstborne", "The Last Theorem" 等を読んだ。 どれも面白かったが、どうもプロットに無理が有るように思えて (人類を滅ぼすにしても、何故 1000年もかかる方法を取るのか……等)、 そのちょっと前に読んだ "The Trigger" や "3001" の「感動」には及ばない気がした。"Richter 10" は、日本から持って行って、ずっと気になっていたが、結局読まなかった。 ちょっと後悔。Clarke さんは、2008 年に亡くなってしまった。
半ば惰性で、R. Ludlum, P. Cornewell, C. Cussler 等をぼつぼつ買ったが、殆んど読んでいない。 読んだのは、Ludlum: "The Bourne Legacy", Cussler: "Black Wind", "Navigator", "Dark Watch", "Skelton Coast" くらい。Ludlum は、Borune を「登録商標」にしていて、 最近のタイトルは別の著者が書いている。Cussler さんのような共著でもなく、何だこりゃ、の感。
馴染みが有って「当然のように」買って読んだが、結構面白かったのは、 Jack Higgins: "The Whitehouse Connection", "Dark Justice", Michael Crichton "Next", Sthephen King "CELL." しかし King さんの "Desperation", "Duma Key", "Lisey's Story" は、いずれも読みかけて途中で止めてしまった。 大分後で "Desperation" を DVD で見たが、読むのを止めて正解だったような……。ちょっと King さんへの熱が醒めたのかも。 渡航前に Crichton さんの "State of Fear" や "Timeline" を読んでいたので、大いに期待していたのだが、 "Next" (これは面白かった) を出したきりで、これも 2008 年に亡くなってしまった。
途中から、Audio Books を合せて聞くようになり、少し易しいのを、 という事で、ジュブナイルをよく聞き、読んだ。ずっと読んできた Rowling の Harry Potter シリーズで新たに読んだのは "Harry Potter and the Half-Blood Prince" だけ。 最終巻は、途中まで読んで投げ出したままになっている。ちょっと飽きたか? Stephenie Meyer の Twilight Saga 四部作 ("Twilight", "New Moon", "Eclipse", "Breaking Dawn") はついつい全部読んでしまったが、 これも、やっぱり第一作が一番良かったような気がする。 で、また読み返している。
San Diego での収穫、と言えば Dan Brown さん、と何となく思っていたが、 それは、映画を二本("Da Vinci Code", "The Lost Symbol")を見たからで、実際に読んだのは "The Lost Symbol" の方だけ。 でも、最初の輝きがちょっと褪せてきたような気がする。
という事で、小説他は然程読んでいない。なんだか、小説に飽きてしまった、のか。 それ程読みが深くなったはずはないのだが。 (従って英語は読む方もちっとも上達しなかった。 語彙の数に至っては、むしろ落ちているのではないか。)
Non-Fiction
むしろ、Non-Fiction の方に成果が有ったように思う。T. L. Friedman の "The World is Flat" は、本屋で初版を偶然に見付けたのだが、 これが大いに気に入って、 改訂版を丁寧に聞いて読んだ。(Audio Book が改訂版だったので、紙の本も買い直した訣。) しかし、これは後の不況によってその輝きがかなり減殺されてしまった。Richard Dawkins の "God Delusion" も面白かった。しかもこれは、今だに輝きを失なっていない。 これに勢いを得て、宗教(無神論?)関連の本を色々買ったが、 どれも途中で投げ出している。(どれも "God Delusion" 程エキサイティングでは無かったから?)
Friedman さん同様、本屋でたまたま見つけたのが自慢なのだが、 Neil Shubin, "Your Inner Fish" が良かった。 本当の事を言うと最初読了した時は然程でも無かったが、Web 上で結構論争になっている(というか、進化論側の hero になっている)のを知り、改めて読んでみて「凄さ」を再認識したのだった。
進化論/Science
むしろ、これに触発されて進化論の方へ興味が移っている。Dawkins さん自身の "Blind Watchmaker" や "The Selfish Gene" を部分的に読み返した他、最新刊の "The Greatest Show on Earth" や "The Ancester's Tale" 他を買い込んだが、これらはまだ読んでいない。(こいつら分厚すぎ。) Stephen J. Gould さんが疾うに(2002 年)亡くなっている事に気がついたのもこの頃。代りに、古典に帰ろう、という事で、Darwin の "The Origin of Species" を買った——既に 1冊持っていたが、どうも読み難い判型だったので。 というか、Darwin 生誕 200 年のキャンペーンに乗せられたのかも。 で、また読みかけたものの、なんだか勢いを失なってしまった。(Gould さんや、Dawkins さんの優れた解説書を読み過ぎて?、なんだか目新しさが無いんだよなぁ。 でも、Kindle 版は細々と読み続けている。) 代りに、Rendal Keynes の "Creation—The True Stroy of Charles Darwin" を読んだ。(なんちゅう皮肉な表題だろ。)これは Audiobook になり、 映画にまでなった。(生誕キャンペーンのお陰か?)で、ますます、Darwin さんに惹かれている。
Stephen Hawking の "Brief History of Time" を新版("The tenth anniversary edition", 1998) で再読した。10 年前に出た 10 周年記念版だが Audiobook でも聞いてみよう、という事だったに違いない。 Audiobook を聞きながら読むと理解が進むのでは、という感想(幻想)を持った。 単に繰返し読む事になるから、というだけの事かも知れないが。 とにかく、宇宙論や一般相対論がよく分った気がしたし、とても面白かった。 なので、同じ著者の "A Stubbornly Persistent Illusion—The Essential Scientific Works of Albert Einstein" というのも買ってみたが、 勿論最初の章で撃退された(テンソル解析を勉強してからまた来てね、みたいな)。 でも、"Ground Design" は歯が立ちそうな気がする。なんだか楽しみ。
最新・進行中
(一番最近だから、という事もあるだろうが)最大の収穫は、David J. Linden の "The Accidental Mind" のような気がする。 通俗解説書?なのに、これまで、Neural Network や Neural Darwinism の本で、どうしても納得できなかった点が幾つも解消した。 おまけに、この 20 年くらいのアップデートをしてくれるのだから、 もう「快感」の域に達している。 また、Steven D. Levitt, Stephen J. Dubner "Freakonomics", "Super Freakonomics" も凄い本だと思う。後者の最初の 3章程を読んだだけでそう思う。2011-03-20 (Sun): NPR の日本報道
このところビデオクリップに惹かれて BBC ばかり見ていたが、実は普段は NPR を読んだり聞いたりする事の方が多い。(BBC は、扱う国の範囲が広すぎて、つまり RSS で表示されるタイトルが多すぎて、 ついつい敬遠してしまう。) で、久し振りに、何日か通勤の車の中で、NPR を聞いてみた。 当初は定時のニュース(約 5分)の半分くらいを、 日本の地震被害の報道に割いていたように思う。あと、ニュース解説的な番組 (Morning Edition や KPBS のローカル番組) も特集を組んでいて、日本大使館員から、UCSD の日本人学生まで、幅広い在米日本人の意見を聞く事ができた。 (それにしても、大使館員さん、なんでそんなにボソボソ喋るの?) ともあれ、 木琴(シロホン?)による君が代の演奏を BGM にしたななかなの演出で、普段は(特に各政権の短命さを論うような場合は) かなり揶揄が混る事もあるが、今回はすごく厳粛で真摯。 また、危機の下での日本人の自己抑制、 地震災害に対する準備の良さを褒めていた。 多少はリップサービスが有るとしても、 「なんだかんだ言っても、米国人は人が良いんだなぁ」と、 BBC と比較してそう思った。
で、また、そのウェブサイトの記事も読むようになった。 ちょっと感動なのは、十日後の今も変らないペースで、 日本の震災に関する報道が続いている事。 (勿論、原発の危機のせいで関心が続いているという面もあるだろうが。) 印象に残った記事と写真集(?)を幾つか:
- Japan's Struggle To Recover
- Japan Calls For Help Evacuating At-Risk Residents
- Japan's Survivors Bid Dignified Farewell To Deceased
- Japan Relief Efforts Centered At U.S. Military Bases
- Japan Reports Progress In Stabilizing Nuclear Plant
2011-03-12 (Sat): 東日本大震災
自分の居る場所から同じくらい離れていても、 やはりニュージーランドと日本とでは関心の度合いが桁違いで (あたり前の事ながら) ついつい、News Feed を見てしまう。 その内でも特にビデオクリップ (Footage) には釘付けになる。 家族や肉親の安全を確認した後は、かなりの時間をそっちに割いてしまった。 何も BBC に限る必要はないのだが、普段(時々)見ているから、というのと、 そこからのだけでも全部は見られない程次々に出るので、 ほぼ BBC だけ、になっている。それこそ RSS Feed のお世話になっている訣で、大変重宝している(何しろ Firefox の Book Mark にヘッダが表われる)のだが、 これを記録に残そうとすると途端に途方に暮れてしまうのだった。 静的 (Static) なリストが無いので、個別のクリップの URL を保存するしかない(ように思える)。
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Footage of blast at Japan nuclear power plant
水素爆発の瞬間の映像有り。 チェルノブイリのイメージと重なって、一瞬ぞっとした。 -
New footage shows quake impact,
Tsunami sweeps through Japan city
上空からのショットより格段の臨場感が有る。 そんなところで、よく冷静にカメラを回していられるものだ。 -
Japan earthquake: Narrow escape for office workers
慌てて外へ飛び出してはいけない、は本当。 実際上階からの落下物に殆んど直撃されそうになっている。 -
Japan hit by tsunami after massive earthquake
最も初期の映像 (NHK から)。最後の方に、迫り来る津波を横目に、 走り去ろうとする車が二台写っている。 無事に逃げおおせただろうか。特に、一旦止まってしまった方。 -
Japan's earthquake and tsunami explained
"BCC のニュース解説の中の震源の分布図"
家族や親族を亡くした方々や、一切合切を無くされた方々の悲嘆や絶望は、 思いやるに忍びないものがあるのは勿論であるが、私個人としては、 東北地方独特の美しく整備された畑や田圃が、 津波の黒い海水に覆われていく映像もとても「やるせなく」思った。 正に国土が侵されている、とか、取り返しがつかない事になってしまった、 といふ思いに囚われる。
同時に自分の足許もおぼつかないような気がしてきた。 これは明日自分達に起っても不思議の無い事で、で、もしそうなっても、 自分にはもうやり直す時間はないだろうな、 という不安感もしくは恐怖感だろうか。
2011-02-19 (Sat): コーヒー難民
とにかくコーヒーが好きである。 好きを通り越して、学生時代に嵌って以来、 ずーっと半ばカフェイン中毒だったような気がする。 肝炎で入院した時に一月あまりコーヒーを絶ったが、 コーヒー断ちはこれが最初で最後。 でも、その時一月ぶり(退院直前)にコーヒーをこっそり飲んだら、 一晩中寝られないで往生した。 (実はカフェインに敏感な体質で、普段は中毒状態なんだ、 という事がこの時良く分った。)San Diego に引越した時、密かに「コーヒーを極めてみよう」と決心していた。 が、道はなかなか険しい……。(他にも、大物釣りだとか、射撃だとか、 カヤックだとか、色々野心は有ったのだが、どれも実現していない。 その中ではコーヒーはむしろ「細やか」な方だろうが、それさえ……) 日本の喫茶店で嗅げるような、コーヒーの香りがどうしても再現できない。 Starbucks や Peet's Coffee 他の、比較的手に入りやすい豆は、 それぞれの店で複数の種類試してみたが、 どれも香りなんぞ「無い」と言った方が早いくらいのものである。 (そもそも、お店で香り高いコーヒーなんて飲めないのだから、 豆や粉を買ってきてもダメなのは無理もない。)
大体、アメリカ人に旨いコーヒーを期待する方が無理なのかも。 香りが無いどころか、やたら「フレーバー」を着けたがる。 コーヒーにヘーゼルナッツの風味を着けて何が嬉しいか……。 その上、プラスチックの匂いに鈍感で、 コーヒーの入ったプラスチックパッケージに穴を開けて淹れるコーヒーメーカーを、 手軽簡単と称して称賛する。如何ともしがたい。 (まあ、自分もカプチーノは大好きなので、あまり偉そうな事は言えないが。)
それでもめげずに、いろいろやってみた。 勿論「紙フィルタのドリップ」方式は変えない。 挽きたてが良いはず、という事で、コーヒー・グラインダ (コーヒー・ミルは通じない:-) はかなり早期に買った。 確かに挽いている間とか、その後淹れている間はかなり良い匂いがする。 しかし、カップに注いで飲もうとする頃には、そうでもなくなってゐる。
これは刃がぐるぐる廻る形式のやつで、近所の Starbucks で買った (TSK-9213SS)。 が、暫くしてその店に 「その形式のグラインダは、蓋を開けた状態でも廻り始める事が有ります。 無料でお取り替えします」なんて張り紙がしてあった。いつも、 ブラシなんか使わず、指で掃除 :-p していたので、ちょっと怖かったが、 使い始めて半年以上経っていたので、交換はしなかった。 (さすがにその後暫くは、コンセントを抜いてから指を突っ込む事にした。)
我が家のコーヒー・メーカー (超ローテク)
さて、道具の改善(苦闘)に並行して、豆の方も色々試してみた。 Starbucks と Peet's には早々に見切りをつけて、まず MacDonald。 (あまり大きな声では言えないが、実はここのが一番旨いと思っている。) 店内を改装して、カプチーノを始めた時、 豆をばらまいたテーブルの中央に、コーヒー豆の袋が飾ってあったので、 てっきりこれは売り物だと思って、注文してみたが、売り物ではなかった。 (ちょっと押し問答が有ったりして:-p。 こういう時、自分の英語は「まだまだ」だな、と思い知らされる。)
次はCoffee Fool という通販。 その Web site に「Blue Mountain は日本人がやたら高く買うから、(ウチでも)高いんだ」等とあって、 コノヤロ、と思ったが、まずそれを買ってみた。 確かに、他のより旨いし香りも良いような気がするが、感激する程ではない。 (豆が黒くないのと、油っぽくないのは良かった。) その上、Blue Mountain だけ袋が小さく、価格表の上での差より、 ずっと割高なのだった。 あとは、モカ、コナ、コロンビア、キリマンジャロ、etc. と彷徨ってみたが、コナ (Hawaii Kona) が一番良い香りがしたように思う。 (昔は好きだったモカが然程でなかったのが残念。第一肝心の「酸味」が無い。 そう言えば、Mocha と言っても Mocha Matari ではなかったが、その所為か?)
今はもう諦めたというか飽きてしまって、惰性で Starbucks の「シーズンのお勧め」(Christmas 版とか、Pike なんたらとか)を買うようになってしまった。
で、要は「敗北宣言」なんだが、ちょっと弁解も……。 これは多分、良い豆の場合でも、自分で挽いて淹れるから、ダメなのではないか。 つまり、その間に鼻が馬鹿になってしまって、飲む頃には、 香りを感じられないのでは、という事。 解決策は、誰か上手な人に淹れてもらうか、 自分で淹れる時は、挽いた時の香りだけで我慢するというか満足する……。
2011-02-06 (Sun): 生兵法は大怪我の元
カイロプラクティックの御陰で、歯痛もかなり収まってきていたが、 依然歯茎に嫌な痛みが残っていた(押すと痛い。) もう一月余りにもなるので、さすがに心配になって歯科医に行ってみた——先生は私の話を聞くやいなや、 「神経が死んで、それが腐敗して根っこに膿が溜っているのだと思います。」 「げ、そんな馬鹿な……」と思うが、その後、歯に穴を明けたり、 リーマでガシガシとそれを拡げたりしても、ちっとも痛くない。 これはどうも先生の仰る事が正解だったようだ。 つまり、「肩凝りで歯が浮いた」なんてのは見当違いの素人診断。でも、それなら何ですっ転んでから痛み始めたのだろう。 また、カイロへ行ってから、かなり痛みが引いたのは何故? てな具合に私の素人療法(診断)をサポートする事実は沢山あるんだがなぁ。 とは言え、問題の歯は件の航空歯痛で私を悩ませた歯でもある……。 航空歯痛は歯の根に問題が有る、というのは本当だったのか。 なんだか逆上せたような、集中できない状態が続いたのも、 体のどこかが化膿していたから、と思えば納得が行く。 そうか、やっぱり、先生の云う事の方が妥当だなぁ(← 当り前ぢや!)
根治には、3 ~ 5 回かかるらしいので、翌日帰米しないといけない今回は無理。 恐る恐るそう言ってみたら、 「仮の処置をしておきますから、帰国後、治療を再開しましょう」 との優しい御言葉。 (あれ、歯茎に膿がたまる状態を放っておいたら、 脳に回って死んでしまうんじゃなかったっけ。 もうその症状が出かけているようにも思える。 そんなにノンビリしていて大丈夫やろか。) でも、先生の余裕に感化されて、 三日分の抗生物質と頓服?を少し処方してもらって引き上げる事に。
それにしても、航空歯痛に悩まされているウチに、 歯科医にかかるべきだったなあ。
2011-01-22 (Sat): カイロプラクティック初体験
「初体験」と言っても実は学生時代に家庭教師のアルバイト先で、 一度簡単にやってもらった事があって、 ボキボキッという凄い音にびっくりした事を覚えている。 しかも、即効いた(ような記憶が。 少くとも、患部が暖かくなって、眠くなった。) その頃から肩凝りに悩まされていたのか……。 そう言えば、もともと「凝り性」だったような……四十肩も三回やったし。 でも、この 5 年程は、腰痛も肩凝りもとんと無縁だったなあ。しかし、年末に転んで胸を打った後遺症がなかなかしつこい。 肋骨の痛みはもう殆んど良いのだが、一緒に首も捻ったのか、 ひどい肩凝りと歯痛に悩まされていた。 それでも、「凝り性」や腰痛持ちを克服した経験から、 「マッサージなんかより、ストレッチの方が絶対効く」 と信じていた。 しかし、ダルさを押してのストレッチや水泳も虚しく、 頭がぼんやりして集中できない事が多くなり、おまけに、 歯を磨くと歯茎から血が出るようになった。 (「浮いた歯」を放置すると歯周病になるのか?)
これはイカン、というので、とうとう、 後輩に紹介してもらったカイロプラクタのところへ行った。 院長さんではなく、若い「代診?」に診てもらう事になった。 (予約の時、受付嬢が「○○先生は予約で塞がっていますので、 □□先生ですが宜しいでしょうか」などとやけに念を押すので、 ちょっと心配だったが、言葉遣いの丁寧な普通の若者也:-p) 俗にいう「電気?」をかけてもらってから、 かなり強いマッサージをしてもらう。その後、首の「ボキッ」は一回だけ。 何だか物足りなさは有ったが、効果は覿面。 帰り道で既に気分の悪さは取れて、車線変更で後ろを見ても「ぎゃっ」 とはならなかった。驚いた事に翌日「歯痛」が大幅に改善された。 普通に物が噛める、というのがこんなに有り難い事だったとは……。
ただ、即効性が有った分、 またすぐに元の黙阿弥になりかけたような気がするので、 勧められた通り、三日後に二度目の通院。 一度目と殆んど同じだが、今度は首をボキッ、ボキッと二度やってくれた。 今回も即効性があり、気分が良くなり、 何より帰り道に運転しながら眠くなって困った。 「おお、効いてる効いてる」なんて感心したが、今回は晩遅くだったから、 かも知れない。 (歯茎からの出血が止まった——歯茎を押すとまだ痛いが。)
その後、仕事が忙しかったり、 飛行機での出張が有ったりして、少々また揺り戻しが来ているが、 今のところ、なんとか「普通のちょっと疲れた週末」の程度で納まっている。 (恐れていた「航空歯痛」の再発も無かった。) 更に何度か行くと「揺り戻し」後の状態も段々良くなるんだろうな、きっと。 やみつき、になる人の気持が解るよ。(友人の体験のように、 先生が「女優になっても不思議でない程の美人」だったら、 通いつめるかも知れない:-p)
2011-01-16 (Sun): Kindle 3(その 1)
Kindle 3
で、最近 Tanenbaum さんの "Computer Network" の第 5 版が出たのに気がついたのだが、それを買うついでに Kindle 3 も注文した。 3G, Graphite, 6"。 3G は要らん、と思っていたけど、件の iPhone(3G) の SMS が AT&T →SB の方向へは送れない事、またそれが SB さんでは解決できなかった事がきっかけとなって、 他のはどうだろう、と急に興味が出てきたのだった。
しかし、つくづく Amazon さんは偉いねぇ。Web にある通り、ちゃんと 2 日で着いたよ。 けど、ついつい "Computer Network" の方を優先して、Kindle は週末になってから開梱した。
箱を開けてちょっと驚いたのは、既に Welcome message のようなものが表示されている事。 なにか印刷した透明シートのようなものが貼ってあるのか、 と思ったが、実際の画面だった。 E-ink は電力を食わない、というデモンストレーションか……。 そこに電源の入れ方と内蔵マニュアルの出し方が書いてあったが、 例によって、マニュアルを良く読まずに触り始める。
"Oxford Dictionary of English" と "The New Oxford American Dictionary" が付いてくる。前者は OED か、と勘違いして大喜びしたが、勿論そんな訣はなくて、NODE (The New Oxford Dictionary of English) を改名したものらしい…… 紛らわしい事をするんじゃない!(OED がすらすら読めるようになった、 と糠喜びしてしまったではないか:-p)
2011-01-08 (Sat): 正月休み
行き
今回は往復ともロス (LAX) ⇔ 羽田 (HND) 便を使ってみた。 それに合わせて、LAX まで自分の車で行く事にした。San Diego と LAX の間(120 マイル)くらいなら皆さん平気で往復しているようだが、 自分にとっては結構厳しかった。特に行きは(出発が翌日の午前零時 5分という事で)夜の上に、 道中ずっと雨が降ったり止んだりという天気で、 緊張したせいか、右手が強張ったりした。 (出発の直前まで大慌てでレポートを書いていたせいも有るかも。)
行きの便の話は、昨年の日記に書いた。
すっころぶ……
帰国した翌日、テニスに誘って頂いた。それは良いのだが、 その最中に転んで脇腹を強く打ってしまった。サービスをしようとして、 自分で本当に「すっころん」でしまった。風が強かったので、 「トスが流れて」などと弁解したが、 実は風でトスが流れる方向とは逆の方向へ転んだのだった (つまり足がもつれた。しかも、自分の肘が当ったらしい。)脇(肋骨)を打って、いつまでも痛い、 という事は中学生の頃一度あっただけで、 どんなだったか朧げにしか憶えていない。 その記憶のとおり、笑ったり、くしゃみをすると飛び上がる程痛い。 翌日に某所での忘年会に呼んで頂いて、とても楽しかったのだが、 愉快すぎて(つまり笑いすぎて)痛くて困った。 (どうも「笑うと痛い」と白状してから、 余計話題が笑わせる方向に行ったような気がするのだが……)
あんまり痛みが続くので、最近近所にできた整形外科に行ってみた。 X 線写真を三枚撮ってくれたけど、結局ヒビも骨折も見当らず。 先生は「様子をみましょう」とだけ。(先生はその箇所に触りもせず。 その診療所は「過剰診療、過剰検査を控える」のがキャッチフレーズなんだけど、 そこまで淡白だと、ちょっとなあ。)
しかし、痛みは引かず、おまけに歯まで痛みだした。 私の田舎で言う「歯が浮く」という感じ。転んで以来、妙に肩が凝るので、 そのせいかも知れない。(そういう時に限って、 手で年賀状の宛て名書きをする、 等という肩を凝らすにはもって来いの事をやる羽目になる。) 一時は、舌が触るだけでも痛く、何も口に入れられない、 なんてところまで行ったが、今は少し良くなっている。 しかし、歯痛は今日も続いている。えらい災難であった。
帰省・同窓会
今年も、某高専の同窓会に出席した。何年も使ってきた料亭?が、再開発のために取り壊された、との事で、 今年から別の料亭になった。が、自分には、Google Map が有るし、高松は 3 年住んだ街だ……だのに、 見事に道に迷って大遅刻。「紺屋町」が、その通りの名前だと(ずっと昔から) 思い込んでいたのが間違いの始まり(実は中央通りの反対側!)。 ままよ、と丸亀町通りへ入ってみたが、 今度は街の様子がすっかり変っていて、 自分がどのあたりに居るのかも解らない始末。MBA + Pocket WiFi で地図を確認しても、現在位置が解らないのでは道の辿りようがない…… 道を聞いても、全く嘘を教えてくれるおじさんも居たりして…… って事で、30 分も遅刻したが、皆さん待っていてくれたのには驚きもし、 かつ恐縮した。
「暗い話で盛り上がろう」がこのところの合言葉であるが、 あまり暗くなかったなぁ。「暗さ」の基準が下った(上った?)のか、 皆が順応したのか……。 子供達が思うようにならん云々は「ありきたり」過ぎて「ほの暗い」とも言えないし、 なんだかかんだ言っても皆さん職に就いている。 我が家の状態に鑑みると、皆さんの方が大変とは到底思えない。
それと、草創期の OP アンプや、CPU (8008) の話で盛り上がっていたのには、 ちょっと感心(感動)した。なんでも、5 年生のあたりで、 担任の先生に紹介してもらって(勿論まだカリキュラムには無かった筈) それで、会社に入ってそれらを製品に組込む仕事をやったのだとか。凄い。 世が世なれば、もうひとつの「プロジェクト X」のエピソードになったかも。 なにしろ、その中には重機の制御の(全社的な)ディジタル化を担った、 という話もあったりする。 自分はその頃には中退していたので、その先生には教わらなかったし、 大学でも教えてくれなかった(ように思う)。 どちらも就職してからの独学で、しかも、かなり遅い時期(8080 や 6809 の時代) だった。
それにしても、歯が痛くて折角のご馳走があまり食べられなかったのはイタかったなあ。 特に目の前のヒラメの姿作りが……。
帰り
帰りも羽田便だったが、ANA のラウンジで、WiFi アクセスができなかった。AP は二つ程見えているのに、どちらも MBA でも iPhone でも接続できない。 件の「空港ポータルサイトのみ」の AP には接続できたので、こちらの H/W のせいではないのは確か。 何故だかラウンジがえらく混んでいたので、そのせいかなぁ。 (他にも深夜便が有るのか?) 本当に必要のある時に限って……とグチりたくなるタイミング。 おかげで、まだ空港内に居る筈の家族(見送ってくれた)に連絡を取るのに、 Skype が使えず $2.6/min のローミングを使わざるを得なかったぞ。 (何故か Pocket WiFi を使う事を思い付かなかった……)
帰りの便では、件の WiFi AP が動いてなかった。私が上のページで 「どうよ」などと非難したせいだろう(そんな訣ないけど:-p) (自前でアップグレードした)ビジネスクラスは満席で、 (空いていた行きの便のようには)CA さんに「甲斐甲斐しく」お世話になったという気がしない。 AC コンセントは問題無く動いた——通電が始まってから、 一旦プラグを抜き差ししないといけない、というヒネリは有ったが。
歯の痛みが出たが、航空歯痛ではないだろう。普段より酷かったような気がするが、 疼痛とまでは行かなかったし、機体が地上に居る時から痛んだから。 一時間程で、それも収まり、寝て、MBA と遊んで、本を読む、 という極普通のルーチンを楽しんだ。
Blocken Ghost of B777
あと、最後の食事(朝食)は和食にしてもらったが、これが大正解。 前菜があまり盛り沢山で、それで全てかと思ってしまい、「ご飯はないんですか?」 なんて大トンチキをかましてしまったが、「正餐」のブリ大根は秀逸だった。 いつか、自分の作るものの方が旨いぞ、なんて夜郎自大を書いた事があるが、 これにはとても敵わない、と思った。 このところ、どんどん「ぞんざい」になってきている我が家のブリ大根であるが、 もうちょっと何とかしよう。(しかし、ご飯はまだ勝っている。)
LAX への 「行き」の運転では、手が硬ばったりしたが、 「帰り」はそんな事はなかった。しかし、今度は眠くて困った:-p。 ラジオをつけてみたが、逆効果。 こういう時は、大声で歌うに限る。 しかし、あまり長い間こういう機会と離れているせいか、 歌詞もメロディも忘れているのが多い。 眠気払いの定番だった旧制高校の寮歌なども、もう全部は思い出せない…… トシをとったら、昔の事だけはよく憶えている筈なんだが。 ともあれ、2 時間弱で無事 San Diego に着いて、余裕をかまして、 食料品を買ってからアパートに戻った(ブリの切り身と大根も買った:-p。)
242/1,788,172 Taka Fukuda Last modified: 2016-02-24 (Wed) 08:56:10 JST