San Diego 通信 (2009)
目次
2009-11-21 (Sat): 甘苦北京(その三)2009-11-20 (Fri): 甘苦北京(その二)
2009-11-18 (Wed): 甘苦北京(その一)
2009-10-24 (Sat): 自炊レシピ(朝食編)
2009-10-17 (Sat): Unix Ware
2009-10-10 (Sat): やっぱりな(その 12)
2009-09-19 (Sat): 逆ローミング顛末
2009-08-30 (Sun): やっぱりな(その 11)
2009-08-08 (Sat): iPhone 3G S
2009-08-01 (Sat): やっぱりな(その十)
2009-06-27 (Sat): 浮世離れ
2009-06-06 (Sat): 天安門事件二十周年
2009-05-23 (Sat): やっぱりな(その九)
2009-05-09 (Sat): やっぱりな(その八)
2009-04-25 (Sat): あれやこれや
2009-04-04 (Sat): Region Code 3 て?
2009-02-28 (Sat): やっぱりな(その七)
2009-02-18 (Wed): やっぱりな(その六)
2009-01-24 (Sat): 多事多難
2009-01-10 (Sat): 泡のように消えてしまう贅沢
2008 年分
2007 年分
2006 年分
2009-11-21 (Sat): 甘苦北京(その三)
例によって、早朝に起き出してメールを見てゐたら、その中に 「あなたの口座に不正なアクセスが有ったので凍結した」といふのが有った。 昨晩、ATM で現金を引き出さうとして拒否されたが、その所為だらう。 これは Debit Card が使へなくなってゐるといふ事でもあるので、米国へ帰った時早速困る。 で、解除するには電話でないといけないのだが、これが今回はとりわけ大変だった。 (さうでなくても電話で用をたすのはおぼつかないのに……) まず、指定の国外用コレクトコールの番号は、何故か中国人の女性が出て、"No, no" と言ふばかり(なんでや……)。米国内向けの番号は勿論繋らない。もしや、と思い、 Skype の call out を使ってその番号に掛けてみた。何とつながった。 しかし、例によって延々と待たされ(15 分)、やっとオペレーターが出たと思ったら 録音の声が「国外から掛けてゐるからダメ。さよなら」と抜かしおった。 ったく、Skype の発信元の国を見破る技術があるなら、 国外用コレクトコールの番号くらゐきちんと管理しろよな……。
ちなみに、夕方、そのコレクトコール番号に掛けたら、 すぐ米国の銀行に繋って口座の制限を解く事ができた。 ふーむ、先にダメだったのは、早朝だったからか、 中国人オペレーターの誤操作だったのか……(二度掛けたんだけどなあ。) どちらにしても「なんだかなあ」である。そもそも、 ホテルがキャッシングしない、といふのがをかしいだらう (高額のデポジットを取ってゐるのに。) また、すぐに口座を凍結するくせに、さうする基準をはっきり言はない銀行にも腹が立つ。 と、八つ当たりの相手はどんどん増えてゆくが、 ともあれ、中国を訪れる時はある程度人民元を現金で持つ事を心掛けるべきだらう。 (しかし、人民元から他の通貨に替える時には否応なく 60 元取られる事にも注意。)
さて、飛行機の便の都合で一日空いた。どうしようといふ思案も無かったが、 天安門広場と故宮博物館へ行ってみようと思ひ立つ。
いつもの事ながら、泥縄でコースを考へるのだが、ここでちょっと問題が。 自分の居るホテルの場所が、Google マップで同定できない。 正式な住所を英語でフルに入れると、 ホテル名を入れたのとは違ふ地点が示される。これには参った。 ホテルの前の通りの名前を思ひ出して、後者だらうと当りをつける。 (初日にタクシーの運転手さんがこのホテルを知らなかったのも無理もない。) ちなみに、噂通り、中国からはアクセスできないサイトが有る。 (白々しくも、"Packets are empty!" とか表示される。 誰が中身を抜いたんだ?) しかし、天安門や天安門事件で Google や Wikipedia が表示されない、なんて事は無かった。
まずは天安門まで、約 6 km を歩く事にした。(帰りはバスか地下鉄で、 といふ計画である。)気温は零度前後だが、 風はないし快晴なので絶好の散歩日和である。先ず阜成門外大街 (Fuchengmen Outer Street) を西に歩いて、阜成門橋に出、 そこで右に折れて阜成門南大街を南下する。 このあたりはビジネス街なのか、先程の繁華街と違って人はまばら。 でも、自動車道の交通渋滞はすさまじい。 他と立体交差する本線?は片側三車線の立派な道路なのに、完全に止まってゐた。 そのせいか排気ガスの匂ひがキツい。しばらく歩いてゐたが我慢できなくなり、 道路を東側へ横断し、さらに一本外側の道に入る。 匂ひは少し良くなったが、やっぱり目はしょぼしょぼする。
それより驚いたのは、5 m か 10 m の間隔を置いて、ずらっと並んでゐるクレジットカード売りの人達。 最初はビラでも配ってゐるのかと思ったが、 皆一様にクレジットカードを 10 枚程入れた透明のケースを掲げてゐる。 (カードのデザインはまちまち。) 私も声を掛けられたが、勿論無視。しかし、一体あれはどうやって買ふのだらう。 いくばくかのお金を払ったら、その場で名前をエンボスしてくれて、 即使用可になるとか…… まさか、ね。しかし歩行者は殆んど居ないのに、 相当沢山のダフ屋さんが並んでゐるところを見ると、 客一人あたりの収益率は相当高い筈だ。 客をカモるのか、 そのカード会社毎ぐるになって詐欺まがひをやるのか解らないが、 相当やばい事であるのは間違いなからう。 とにかく近づかないのに越した事はないやうだ。 これを見てゐると、 クレジットカードでチェックインするのに倍額近いデポジットを取られたり、 ATM からのアクセスがいきなり拒否され口座が凍結されたり、 と中国でカードの信用が全く無いのもまあ頷けると言ふもの。
復興門橋で西に曲ると、復興門内大街を経て西長安街。片側 5 車線のとにかく凄い道路だ。 両側に間隔を置いて並んだ建物も立派である。 また、立体交差や歩道橋は一切無い。 正に現代の「都大路」といふ感じがする。 が、ここへ来て渋滞は無いのに排気ガスの匂いが酷くなった。 その上、何だか頭まで痛くなってきた。
人通りも増えてきた。かうなると気をつけないといけないのは 「かー、ぺっ」である。 上手な人は 2 m は飛ばすから油断ならない。 人に直接吐きかけようとする人はさすがに居ないやうだが、 歩きながら横を向いて吐く事が多いので、人が斜め前を歩いてゐる時は要注意。 「かー」を聞いたら、急いで辺りを見回さなければいけない。 やるかやらないかは身なりとか性別には関係ないやうだ。
もう一つは「てばな」。今ではこれを知る日本人は少ないかも知れないが、 中国ではまだまだ健在。 これは前を歩いてゐる人がやをら手袋を脱いだら要注意である。 射程は短かいが、狙いが定まりにくいので、危険度は同程度か。 また、これも身なり性別関係無し。この都大路ではなく、 泊ってゐたホテルの前での話だが、 向かうから来た若いカップルの女性の方がやりおった。 さう言へば、ダフ(カード)屋の女性もやってたなぁ。 (売ってるものが何であれ、その手から買ふ気は起きない…… と思ふのは私だけ?)自分がびっくりしたので、女性の例ばかり挙げたが、 公正に比較すればやはり男性が多いやうな気がする。
等といふ事を書いたのも、広壮な都大路にはすぐに飽きてしまったから。 しかし、後 2 km は歩かないと、目的地に辿りつけない。 いい加減草臥れたので、途中ちょっと寄り道して、本屋さんに入った。 たった二日間のトレーニングで解るはずもないが、 ぱらぱらと頁をめくってはみた。「三国志」も「共産党規約」も、簡体字、 横書き、句読点付き。ちょっと頑張れば読めさうな気もしたが、 これは勿論幻想だらう。洋書売り場も有った。 品揃えは結構豊富で、経済や科学やポップカルチャーの洋書(主に英語)は一杯あった。 が、不思議な事に、技術の分野は建築を除いてほぼ皆無。 インターネットや無線ネットワークの国際会議は主催するのに、 その基本的な書籍を売ってないのは何故? 翻訳や海賊版が完備してゐるから? しかし、これでは今回の会議のプレゼンが全部中国語なのも無理はない (等と言ふのは牽強附会だらうか。) 残念ながら、主目的の Starbucks は無かった。
さて、座れなかったし、コーヒーにもありつけなかったが、 しばらく佇んだおかげか、また少し元気が出てきたので歩き始める。 排気ガスの匂ひにも慣れてきたのか、頭はまだ痛むが、鼻は大丈夫なやうな気がする。
知らなかったが、天安門の並びに中国共産党の本部が有る。撮った写真が、iPhoto のハングで消えてしまひ、これは Wikipedia から借用した写真。 左の方の赤い看板の文字が切れてゐるが、 ここに「中国共産党」云々と書かれてゐたはず。 実際には、警備の警官や衛兵がもっとゐて、ものものしい雰囲気であった。
やうやく天安門に着く。ここで撮った写真も失なってしまった。 まずは、天安門から紫禁城の中に入る。 小浜さんが見舞われた雪が、 まだそこここに残ってゐた。 しかし、この雪の御陰で、小浜さんは真っ青な空を見られたのだらうと思ふ。 私の空は薄曇であった。 それはともかく、城内はとにかく広くて大きい。それと人また人。 少数民族の人達なのか、浅黒い顔やエキゾチックな服装も結構多い。 あ、さうか、ここはお上りさんのメッカなんだ。 笑ってしまふ事に、ここで何度も道を聞かれた。一度は英語で、あとは中国語か? 私はそんなに地元人っぽく見えるのかなぁ。私も(究極の)お上りさんなんだってば。 故宮美術館に入るには、すなわちこの午門から更に奥に入るには、 チケットが要るが、それを買ふ列がこれまた長くて、 何よりちっとも進んでないやうに見えた。なので、あっさり諦める。 台湾へ行った時のために取っておかう。
天安門から西長安街を挟んだ対岸が天安門広場である。 何て事はない広場なんだけど、まあ寄っておく事にする。 先にも書いたが、横断歩道や歩道橋は無いので、横断はすべて地下道である。 これがまた立派なもので、かつ入り組んでをり、私は道に迷ってしまった。 間違って、国立博物館の側に出てしまったが、しばらく歩くと、 道路を横断して広場に入れる門が有った。 その門(検問所)では今だに手荷物検査をしてゐる。ThinkPad を持ってゐたので、しまった、と思ったが X 線検査を何の問題もなくパスした。 その後も他の人達のバッグは熱心に調べてゐたのに、ThinkPad 入りのショルダーバッグには触りもしなかった。 広場はとにかく広い。東に国立博物館、北に天安門、西に人民大公会堂。いずれも遠く霞んでゐる。(本当は iPhone カメラレンズが広角である事と、大気汚染のせい。) 南に「毛沢東記念館」が有るのだが、逆光でうまく撮れなかった。
Tank Man の事件の現場がどこだったか結局よく解らないまま。 周囲の建物が大きく変ってゐるし、 あのビデオの俯角を取るような場所を巡る訣にもいかないし。 ただ、漠然と、西(東?)長安街の天安門東駅あたりから東に進む戦車を、 公安部の前あたりで止めたのではないか、と想像してゐる。 (しかしそれでは、天安門から去る戦車を止めた事になるが……。)
広場は吹きさらしで寒いし、いい加減疲れたので、地下鉄(地鉄) で帰る事にした。 どこの国でも地下鉄やバスを利用するのは結構チャレンジングなものであるが、 北京でも例外ではなく、かなりとまどった。 X 線による荷物検査は、天安門広場同様お咎め無し。問題は切符で、 大きな切符売り場の窓口は閉鎖されてゐた。自動販売機で買ふらしいのだが、 何故か他の人達は自動販売機の横に立ってゐる駅員さんから買ってゐる。 その駅員さんに英語は解らんと拒否されたので、 自動販売機に頼るしかないのだが、どうしてもお札を受けつけてくれない。 何度やってもだめ。見兼ねた駅員さんが寄ってきて、 自販機のスクリーンで行き先の駅を指差せといふ手振り。 そこを差すと、カードを売ってくれた。 (ひょっとして、自販機は使えないのだった?) 1 号線で、復興門橋まで行き、そこで 2 号線に乗り換え、阜成門橋まで行った。 出る時に、使い切ったカードは、翳すのではなくて、 スロットに入れる事に気付くのにちょっと時間が掛ったが、 その他はスムースであった。
2009-11-20 (Fri): 甘苦北京(その二)
一昨日の熱烈歓迎に恐れをなして、翌日から早め早めの行動を取る事にする。 それが正解だったやうで、昨日今日とも、朝食ビュッフェではちゃんとした(広島焼風でない) オムレツにありつけたし、コーヒーもまあまあであった。が、会議の登録でかなりまごついた。通常の「屋台」が有って、 そこにあったお皿に名刺を置いたら、その名刺には目もくれず、 またリストも確認しないで、会議予定の小冊子が入った袋と、 お昼の食券をくれた……。 なんぼなんでも、これはをかしいだらうと思ひ、「小冊子はこれで全部か? 私は藍牙や、超寛帯の会議にも出るのだが」云々と追及してみたが、 受付のお嬢さんは「それで全部。あなたの登録は完了した」と譲らない。
初日の午前中は、The Internet of Things と言ふ訣の分らない題の会議に出た。 まあ、ついで、みたいなものである。 最初に、髪を七三に分けて眼鏡を掛け、 ダークスーツをピシッと着こなした男性が挨拶に立った。 中国語なので、何を言ってゐるのかさっぱり分らなかったが、 終った後盛大な拍手が長く続いたところを見ると、党の偉いさんだったのかも。 しかし驚いた事に、「検討会」が始まっても、 中国人がやるプレゼンテーションは殆んど皆中国語である。 しかも、中にはプレゼン資料まで中国語のみ、といふのさへ有る。 正面の大パネルには確かに 「International Workshop, 国際検討会」と書いてあるのに……。 白けてしまって、プレゼン資料の簡体字を「翻訳」してみる事にした。 これがなかな難物である。熟語になってゐると結構想像がつくのだが、 その両方ともが繁体字や日本語の新体字とかけ離れていると、 まったく見当がつかない事がある。
程なく、少し遅れて来て右隣に座ったお嬢さんが筆談で話しかけてきた。
中国語は分らない、と英語で返事すると、早速英語に切り替えて、
筆談で色々教えてくれた。(「次の発表は英語ですよ」とか
「次の発表者は○○で有名な方です」とか。)
私としては、「聯網」(The Internet :-) の事も少しは知ってゐるので、
分らない簡体字を繁体字に直してもらった方が話が早いと思ふのだが、
そもそも簡体字以外の漢字はよく御存知でないらしく、
どうしても英語での説明になってしまふ。それでも、おかげ様で
等の「難関」を突破でき、他の字にも推測が効くやうになって、
少しづつながら話が分るやうになってきた。
それにしても、何とも極端な簡略化をしてしまったものである。 上の例も許し難いが、しかし私が一番許せないと思ったのはである。 これで技術者は自分の仕事に誇りが持てるだらうか。 (なんてのは「後の祭り」の「余計なお世話」である事は重々承知の冗談であるが。)
昼休みのホールでこちらに手を振る女性が居るので、 近付いて見ると件の筆談の君であった。よく見るとなかなか可愛い眼鏡っ娘である。 しかし、話によると午後からは違ふセッションになるとの事。残念。 (と、向かうも言ってたやうに思ふが、空耳に違ひない。)
午後は、「藍牙」(Bluetooth)のセッションに参加。 前半はチュートリアル的な発表を英語でやってくれたので、 ひたすら真面目にノートを取る。
二日目。「超寛帯」(Ultra Broadband) の会議。 例によって馬鹿早く出て前の方の席を確保しておいてから、ThinkPad のためのコンセントを探しに出かける。 戻ってみたら、私の席の両隣りは、老教授といった雰囲気の方々に占拠されてゐた。 どうしたものかと、逡巡してゐると「ここへ座れ」と手招きされる。 否も応もない。 座ったら、置いてあった ThinkPad を指さして、何やら話し掛けてくる。 中国語は解らないと言ふと、ちょっと驚いた風であったが、 英語に切り替へて「バッテリはどれくらい持つのか」と聞いてきた。 その後、「IBM の……」「いや Lenovo だろ」といった他愛ない愛国的やりとりをしてゐるうちに会議が始まる。 この方々なら繁体字も御存知だらうが、 さすがに教授を相手に「授業中の内職(筆談)」は憚られた (やっても嬉しくないだらうし:-p)。 なので、休み時間に筆談を試みた。 しかし、ここでも繁体字についてはあまり参考にならなかった。 例へば、プレゼン資料に有った
超寛帯的涅槃重生(原文は新体字)の涅槃の「槃」が、簡体字(「舟」の下に「皿」)になってゐたので分らなくて お聞きしたのだが、先生やをら中国語と英語で仏教の講義を始めて下さった。曰く、
the death (= nirvana) of Sekamuni = new birth of Budha私だってそれくらゐは知ってゐたのだが:-p。 (第一、Sekamuni は Sakyamuni、 Budha は Buddha でせう。 ノートに書いてくれたのを見ながら書いてゐるから私の間違ひではない)。 要はここでも「涅槃」といふ漢字を教えてくれれば十分だったのだけど、でも、 親しく教へてやらうという気持は嬉しかった。 前日のお嬢さんといひ、親切な人も中には居るのだ。
それにしても、後ろの方の席は今日も若い人達で一杯。しかも女性も多い。 無線の標準化の会議に若い女性が来る事自体が珍しいのに…… と感心してゐたが、ふと、パンフレットの「精華大学協賛」の文字を思ひ出した。 多分、この青年達の大半は学生で、先程の老教授ともども「動員」されたのだらう、と思い至る。
2009-11-18 (Wed): 甘苦北京(その一)
(題は高木のぶ子さんの「甘苦上海」に似てゐますが、何の関りもありませんし、 ちっともロマンチックぢゃありません。)中国は北京へ三日程出張した。中国は初めて。 最近は、その軍拡や人権抑圧を快く思ってゐない事もあり、 敢へて行ってみたいとは思ってゐなかったが、 偶々この時期に日本へ呼び戻され、日程もぴったり合ったので……
北京空港は素晴しい。オリンピックの御陰か。 スケールが大きいし、建築デザインも秀逸。トラム?の発進走行もスムースだし、 入国審査官の対応も丁寧だし(要は日本人相手には殆ど喋らない、といふ事。) 「へー、なかなかやるじゃん」といふ賞賛の気持は、 しかし、空港を出るあたりまでしか続かなかった。
出口で早速問題にぶつかる。タクシーになかなか乗れない。 列に並んで、配車係の指示する場所へ行ってみるが、 一向に自分の前に車が止ってくれない。 たまに目が合った運転手さんに手を上げて合図してみるがダメ。 仕方が無いので、配車係の居ない別の列に並び直して、 やっと乗り込む事ができた。(あの配車係は一体何なんだ?) が、しかし、運転手さんは一言も日本語も英語も解さない様子。 ゆっくりホテルの名前を繰返してもちっとも解ってもらヘない。 iPhone のカレンダーにたまたまホテル名と住所を書き下ろしてゐたので、 それを示してみても、ひたすら首を傾げるばかり。 彼氏思ひ余ったのか、警備のお兄さんのところまで車を動かして相談を始めた。 しばらく話してゐたが、怪訝な顔のまま iPhone を返してくれた。 不安は残るが、でもとにかく出発。もう夜遅かったからか、渋滞にも引っ掛らず、 無事予定の予算内で、ホテルに着いた(84 元也。)やれやれ。
にこやかに中国語で迎へてくれる受付の女性に、 英語に切り替えてもらひ……、といふところに横から割り込んでくるオヤジあり。 初めは私の担当とは別の女性に何やら喚いていたが、彼女が居なくなると、 私と担当女性の間に(物理的に)割り込んできて、レシートのようなものを振り翳しながら、 しきりに喚く。受け付け嬢の方も、笑みは絶やさないものの、 結構厳しい口調で受け答えする。(これは結構怖い。) オヤジの方は、時間が遅くなってガランとしてゐるロビーに響き渡る大声である。 これが日本なら(多分米国でも)、 たちまち人垣はできるは、警備の人は飛んでくるは、 くらゐの騒ぎだったと思ふのだが。 そのホテルの玄関付近にも警備員らしき人は居たが、全く関心が無い様子。 その内もとの受付女性が戻ってきて嵐はそっちへ去り、 しばらくして怒声も止んだ(逮捕されたに違ひない:-p)。 やっと、チェックインができる。 しかし、一難去ってまた一難。クレジットカードでチェックインしてゐるのに 4,000 元もデポジットを取ると言ふ。(見込み額は約 2,000 元の筈。 差額を元の現金で返すのか、と嫌な予感がしたが、さうではなかった。) 「何でや、そんなに信用ないんか」と思ふが、 ここでごちゃごちゃ言ってると「もう泊めてやらない」 と言はれさうなので、大人しく従ふ事にした。やれやれ。
しかし、寝る前に一杯やりたくなって、ラウンジへ降りて行った。 「ここがラウンジですか」と黒いチャイナドレスのお嬢さんに聞いたら、 急に「アラートモード」になって、何人も他の女性を引っ張ってくる騒ぎになった。 結局、そこがそのラウンジである事が判明したので、安心して注文する。 メニューのウイスキーを指さしながら、「ストレート、ダブルで。 チェイサー(水)もつけてね」と注文すると「オンザロック?」 と聞き返すので、「いや、ウィスキーと水を別々のグラスで。氷はいらない。」 と念を押したつもり。 が、出てきたのはウイスキーと氷が入ってゐる水割りグラスと、小型の水差し。 この水差しから直接飲めないので、 「グラスに入った水を下さい」とお願ひすると、しばらくしてから、 ペットボトルの水が出てきた! もうかなり「めげ」かけてゐたが、気を取り直して「グラスを下さい」 と要求する。今度はすぐに出てきた。 これでチェイサーは確保できたものの、背の高い水割りグラスで、 氷を避けながら底の方のウイスキーを飲むといふのはなかなか難しい。 一噌の事、水割りにしてしまはうかと思ふが、 わざわざ水だけのグラスを貰った手前、それも気が引ける。 勿論「氷なしのウイスキーを」と要求する元気も勇気も残ってゐなかったが。
ちなみに、先程のシャウト・オヤジはこの店の客だった。 逮捕されるどころか、女性を含む五六人の連れと(静かに)お酒を飲んでゐたらしい。 彼氏が店を出る時に目が合ったが、 私と「押し競饅頭」をした事など覚えてもゐないやうだった。
やれやれ、北京の第一日目は散々でありました。まだ 4 時間たらずしか滞在してないといふのに。
2009-10-24 (Sat): 自炊レシピ(朝食編)
三年掛けて洗練したにしては……という憾みもあるが、 それでも我が家の「自炊」の出来栄えはなかなかのものであると自負している。ご飯: 先週書いたコクゾウムシ付きコシヒカリ(カリフォルニア産)である。 これがなかなか行けているのだ。 よく研いで(コクゾウ君は捨てて……本当は滅多に見付からないが)、 少し固めの水加減にして、炊き上った直後にシャモジでかき混ぜて(というか、 ほぐして)から蒸らす事にしている。 (それでも、最近「銀シャリ」にならない事が有る。カマが古くなったかな?) よく蒸らしてすぐ食べるのがベストであるが、一回で食べ切れる量(0.5 合)はうまく炊けないので、2 合炊いて、後の 3 食分は、お握りにして弁当にするか、お茶碗に装った状態で冷蔵庫にしまっておく。 この時、冷すのにコツが有って、炊飯器の内釜ごと外に出し、 フライパンのフタをして、水分を逃がさないようにして冷す。 ここで密閉してしまうとまた良くない。 (昔の木の御櫃が有れば完璧なんだろうな、きっと。) あと、冷凍すると少々味が落ちる気がする。冷蔵でも三日くらいは平気。
味噌汁: 色々試行錯誤したが、今は豆腐と元葉わかめに落ち着いている。 「元葉」がどういう意味か良く知らないし、 季節によっては若くない事もあるようだが、今のところベストである。 水に漬けておかないで、手で軽く揉んで塩抜きする。(時間短縮のため。) 豆腐は、House の廉価版はあまり日持ちがするので、 ちょっとだけ良いものにしてゐる。 (「男前……」や「風に吹かれて……」は、違いが分らない。 冷奴には良いかも。) 味噌は「まるちゃん、料亭の味」。(どうも、このダシで持っている気もする。) 常識の範囲であるが、わかめはあまり煮立ててはいけない。 また、味噌を解いたら、一煮立ちさせる程度ですぐ火を落す。 細ネギの入手が頭痛の種であったが、 少々太くても味には然程変りがない事が解った。一束買ってきたら、 全部刻んで、半分は冷蔵庫、あと半分は ZipLock に入れて冷凍庫にしまう。 (冷凍庫に入れた方は、凍ったままを、手でほぐして直接鍋へ。 冷蔵庫へ戻して解凍してはいけない。) ちょっと前、血圧が高いと言われて、薄味を試してみたが、 味噌の量を以前の半分強にしたら、返って旨くなったような気がする。
鮭: 最初はアジの開きであったが、その後鮭の切り身が勢力を延してきて、 今ではこっちがメインである。(もちろん偶にはタラコになったり、 アジに戻ったりもするが。)鮭の切り身は、残念ながら塩加減にバラツキがあるし、 お店によっては、冷蔵の状態が良くないものがある。フネに 5 切れ以上も載っているようなのは、お買い得ではあるが、 鮮度の点でがっかりする確率が高い。 薄塩で鮮度の良い鮭にあたり、それをうまく焼けた時などは、 ちょっと食べ終るのが惜しいくらいのものである。少しの醤油がコツのようだ。
おひたし: ホウレンソウのおひたしは、上の鮭とよく合うので、 ずっと定番であった。鰹節を振り掛けるともっと良くなるが、 鮭と並べて、カツオだと何か間違っているかな、という気もするが。 しかし、茹でるのが一騒動なんです。 まず、洗うのが大変。ものによっては、洗っても洗っても、ドロが出てくる。 また、大きな鍋がないので、 何度にも分けて茹でる必要があり、夏などエアコンが動きっぱなしになる。 (我が家のレンジには換気扇がない……)で、どうも間遠になってきていた。
漬物: そこに登場したのがヌカ漬け。 料理本には凄く旨そうな事が書いてあるが、同時に相当面倒そうでもある。 特に毎日かき混ぜないとダメになる、というのが致命的 (私はしょっちゅう泊りの出張があるので。) しかし、カミさんが冷蔵庫で漬けるヌカ漬けのセットを買ってきてくれた。 最初のトライは大成功(「捨て漬け」を食べさせた、という噂もあるが)。 ちょっと「しんなり」して塩味がついた、 という程度かも知れないが、ちょっと感動モンであった。 で、引き継いで色々やってみるもなかなか本格的にならない。 ちょっと大胆になって冷蔵庫から出してみた。 途端に発酵(?)が始まり、ヌカの分量が 1.5 倍程になった。 (今までのプロセスは何だったんだ?) よく漬かるようになった気はするが、 よく漬かったと思う程時間をおくとどうも塩辛い。 (自分が塩を加えすぎたかも。) それでも我慢して、ナス、キュウリ、カブ等を漬けては食べていると、 だんだん塩辛さが取れてきて、旨くなったような気がする。 今は皮ごと丸のままで少し長めに漬けるのがコツかな、と思うようになった。 が、少々問題が……。漬け上ったのを水で洗って切っておくのであるが、 その最中にツマミ食いするとなかなか行けるのに、 一旦、冷蔵庫にしまってから食事の時に食べようとすると、感激する程でもない。 現在原因を追及中である。
てな朝飯を、ご飯とおひたしが冷蔵庫に有れば、10 分くらいで作れるようになった。 熟練とは恐しいものだ。(← って、鮭を焼いて、味噌汁を作るだけなんだから、 威張る程の事でもないか。)
2009-10-17 (Sat): Unix Ware
むしろオタク日記の話題ではないの?とお思いでしょうが、さに有らず。 実はこれ日本製米櫃のブランドなのである。SCO が絡んでのおどろおどろしい商標問題とか本家争いなんかあっさり飛び越えてしまってる。 まあ日本では UNIX は当初登録商標になれなかつた歴史もあり(マランツ社が unix を先に登録していた)、さほどの事ではないのかも知れないが。とにかくこれは優れものである。密閉できるし一合づつ計って取り出せる。 カミさんがわざわざ日本から持ってきてくれたのだが、その甲斐が有ったというもの。 (当地の日本食スーパーに置いてあるのを最近発見したが、ま、それはともかく。) それまでは、流しの下にしまってある米の袋から、 計量カップで掬って炊飯器の釜に入れていた。 これは腰に悪いし、残り少なくなると正確に計るのが難しくなるし、何よりどうも虫がわく。 (何故かこのごろコクゾウムシを時々見掛けるようになっていた。 たまたま滞在していた家人達は大騒ぎ。) とは言え、そのお米を袋ごと捨てる気にはならず、 それをそのままこの米櫃に入れて食べ続ける事にしたのだった。 カミさんが、トウガラシを米櫃に入れておくとコクゾウが居なくなる、 と聞いてきて、それを実行してくれたが、効果の程は定かではない。 (米櫃が密閉されているなら「有り得ない」話だが、 密閉性に関してはあんまり自信が無くなった。) 先週それを目出度く食べ尽して、お米も虫も残ってないのを確認してから、 新しい米袋を開封して、中身をそのお櫃に移した。 これで、コクゾウちゃんから開放される……
と思ったのだが、今朝米を研ごうとしたら、やっぱりコクゾウムシは居た。 あらま、あんなに気をつけていたのに、とがっかりしたが、考えてみたら、 コクゾウムシが他から来るはずはないので、 これは最初から米についていたのだろう。 そうだとしたらこれは素晴しい。 今愛用しているカリフォルニア産コシヒカリは、 美味しいだけでなくとても安全という事になる。 アメリカ人の大雑把さにはこれまで度々泣かされてきたが、今回は怪我の功名、 その御陰でスーパーで買うお米が、日本の無農薬米 と同じくらい安全なものになっている訣だ。 (ちなみに、自分ではコクゾウちゃんが然程気にならない。 良く米を研げば何の問題もないと思う:-p)
2009-10-10 (Sat): やっぱりな(その 12)
くれるものはなんでも貰うときなはれ、小浜さん。
共和党やその取り巻きからの「やつかみ」は当然出てくるだらうが、 これまた当然無視して良い。しかしまあ、前任者に対しては「あなたのお陰です」 くらいの感謝の気持を表明した方が良いかも…… 何しろ御陰様で小浜さんが何をやつても「さすが」となるんだから。
米国内外からの「実績も無いのに……」といふ批判は、これまでの平和賞受賞者の「実績」を見れば、 それ程プレッシャーに感じる事はないと思ひますよ。 (佐藤栄作元首相が我国唯一の受賞者の筈だが、彼が何をやつて賞を貰つたのか、 一体何人の日本人が覚えてゐる事やら。) 昨年の物理学賞が 30 年前の業績に与へられたのを見ても分るやうに、 確かにノーベル賞委員会は実績を見極める事に特に慎重を期してゐるのだが、 平和賞だけは「実績」が「旧の木阿弥」になることが多すぎたせいで (例へばパレスチナ問題)、 実績を顕彰する事から「政治的メッセージを送る」方針に変へたのである。
小浜さんに平和賞を与へる事による政治的メッセージは何か。 当然、「世界は(核)軍縮・核廃絶に向かふべき」であらう。 もつと有り体に言ふなら、 イラン、北朝鮮の核問題、 また中国の軍拡と人権・少数民族問題を現下の世界平和に対する脅威と見做し、 これらに対し「お前らええ加減にせえよ」と言ひたいのだ。 しかし、委員会はそんな下品な言葉は使へないので(いや、 そんな事を言ふのは役目ではないので)代りに小浜さんに賞を上げる事にしよう、 となつたのである……
いや、まんざら冗談でもない気がしてきた。 その証拠に米国の保守派の次に強硬な非難は中国からのやうだ。 しかし「ダライ・ラマ」に授賞した時点から、彼らは官民上げて平和賞そのものに「反対」 なので、これも気にする必要はない。 (でも、こちらへも感謝の気持は表はした方が良い。 何しろ、チベットやウイグルの事件や先の軍事パレードが無かつたら、 多分今回の賞はオバマさんへ来なかつただらうから。) むしろ、今回の受賞を世界中の「草の根」からの支持と受け取つて頂き、 米国保守派が「弱腰」、各国政府が「内政干渉」などと言ふは受けながして、 中国への「人権外交」、 イラン・北朝鮮への「核への干渉」を継続して欲しいものである。
2009-09-19 (Sat): 逆ローミング顛末
8 月に iPhone-3G S を日本に持って帰って使ってみた。 成程便利なものであるが、やはり気になるのはその料金。 数日前に AT&T から請求が来た。結論としては、ローミングの際の通話とデータの料金は、それぞれ $100 くらいずつであった。
まず最初の「がっかり」は、"World Traveller" オプションが有効になってなかった事。 オプション料金そのものが請求されてないので、申込が反映されてない。 電話で申込みして "All Set " と確かに言ってもらったのだがなあ。 まあ、しかし、その際も含めて、通話者通知の内容の変更は三度言って、 三度とも無視された(勿論、その時はいずれも「確認」をもらっている)から、 私の言葉の問題だけではないと思う。
という事もあって、通話の方には $2.29/min が適用される。 受ける方にも同じ料率が適用されるようだ。 しかし、故郷の親父と退っ引きならぬ用事で話し込んだのが大きく、それ以外は、 9 回(10 分)で、$22.9 となる。
データのうち、SMS は送信のみ課金されて、$0.50/Msg。 今回娘のおかげで、これに開眼、結構使ったと思ったが、自分からの発信は 5 回だけで、$2.5。しかし、データの方は、1 MB あたり $20 近くかかる。 あんなに、必要最小限に、と注意していたのに、時々 1 MB 以上のアクセス(発信)が起きていて(In/Out で言えば、Out のみ課金されるらしい)、合計 $114.46。メールのチェックや、マップのアクセスに、 そんなにデータを発信する筈はないから、ひょっとして、WiFi アクセスしているつもりの時に「3G access」になっていたのかも知れない。 兎に角、時々でも "Data Roaming" や "Fech New Data" を使うつもりならば、"20 BM Data Global Add-On" ($25/Mo で 20 MB まで $0.005/KB、それ以降は、0.0195/KB)に入っておくべきだ。
という事で、
- なるべく SMS を使い、しかも、その送信は控える
- 長話はご法度
- 普段は "Data Roaming" や "Fech New Data"
は OFF
- "World Traveller" と "20 BM Data Global
Add-On"
には必ず加入しておく(特に後者)。
- 小まめに、WiFi に接続し、かつ "Data Roaming" や "Fech New Data" を ON にして、3G 接続した時のアクセスの可能性を少くする
2009-08-30 (Sat): やっぱりな(その 11)
どの世論調査も「自公大敗」を予想していたので、 特に驚くべき事ではないのかも知れないが、でも、やっぱり、115 対 300 という前回の選挙の勢力が対称的に入れ替わるのを見るのは壮観である。 (まだ確定していない。残り 17 議席の時点で、自民 113、民主 301。それにしても、 Asahi.com の「獲得議席グラフ」は秀逸ですな。) ともあれ「与党の過半数割れは確実としても、新聞予測の 100 そこそこなんて事はないだろう」という私の予想は大外れだった事は認めます。 後、私の「解党的解党になるのでは」という予想も外れる事を願っています。
ところで、NPR は鳩山さんの事を何度か "The (62-year-old) Stanford graduated engineer" と紹介していた。鳩山さんがエンジニアであったのは一体何年前の事なんだろ。 それに麻生さんだって Stanford に居た事はあるんだぞ、 graduate はしてないけど。それより、その後、"... engineer has a reputation for being wooden and lacking charisma." と続く。 なーんか、エンジニアを見下げた言い方ではないか。 (あ、いや、次期首相を馬鹿にしている事にも腹が経ちますが、勿論。) ふむ、こうなったら(半現役エンジニアとしては)鳩山さんに是非とも党首もしくは首相として、カリスマ性を獲得・発揮してもらいたいものだ。
どうも、米国の記者は(多分国民も)DPJ (米国では日本の民主党をこう呼ぶらしい) の外交政策がどうなるか心配しているようなので、 ここはとりあえず日米関係の見直しにおいて、 この評を撤回させるような英断をお願いしたい。
それにしても、投票率が 50 % を切っているのに、公明党が奮わない。 象徴的なのは田中さんが冬柴さんに勝ってしまった事。 いかに固定票が有っても小選挙区制の下では批判票に勝てない、という事か。 党代表も幹事長も落選したし。
批判票と言えば、中川元財務相が落選されましたな。 素より私にはこの事に何の感慨もないし、惜しいとも勿論思わないが、 しかし、この人 TV で敗戦の弁を語るべきではなかったのでないの? 「ひとえに私の責任です」は、確かにそうでしょうが、 しかし支持者達にそれしか言えないのでは、 この先、何にどう期待すれば良いのやら。政界引退をお勧めします。
ともあれ、政権交代は成った訣で、私はこれはとても良い事だと思う。 勿論、民主党のマニフェストを 100 % 信用している訣ではない。 しかし例えば、皆さん急に「財源の裏付け」なんて事を論い始めたけど、 でも国の借金を 800 兆円にまで詰み上げたのは与党連合なんだから、 民主党の言い分をそのまま信用はできないにしても、 「一応はやらせてみる」 というのが悠長かつ平和な国での選挙民の正しいあり方ではないかと思う。 有り体に言うと、さっさと首をすげ変えて、次に期待する、ということ。 (もっと有り体に言うと、誰がやってもこれ以上酷くなりようが無いだろう:-p。)
「あんまりいい加減な事をやっていると、次の選挙で大敗を喫するかも」 という緊張感を政治家の方々にまず持って頂かなければお話が始まらない。 政治家個人については勿論、政党としての緊張感が大事である。 党に逆風が吹いたら、各議員の当落なんぞ、まさに風前の灯なんだから。 (勿論、今回の経験で、先生方は身に沁ただろうけど。) そうすれば、「ウチの先生が落選したら世の中はおしまい」という「地盤」 の方々の思い込みや、「誰が大臣で来たって、指一本触れさせるものではない」 という官僚諸氏の思い上りを少しずつでも打破できるのではないか、と思う。
それにしても、イランやアフガン、イラクの「選挙の様子」を見ていると、 平和裏に政権交代ができる事の「ありがたさ」(稀である事)を思い知る。 あ、いや、首班指名まで後二週間もあるので、そう言い切るのはちと早計かも。 というのは、我等が元空将閣下は、よりによって 8 月 4 日の広島で日本核武装論をぶちあげたらしいので。 この突拍子も無い親爺が自衛隊に何を残して来たかを想像すると、 上の懸念もさほど的外れでも無いように思えてうそ寒い。 (実際は単なる「跳ねっ返り」親爺と見られていたらしいので、 真面目にクーデターを心配している訣ではないが。)
ところで、一方、金さん家(ち)は三代目の襲名が決まったそうな。 これで、この隣国の行く末は暗い、と定まったような気がする。 多くの国民を餓死させて恬として恥じない体制を、 平和裏には覆す方法が無い…… 何とも悲しく悔しい。
2009-08-08 (Sat): iPhone 3G S
今回急遽日本へ帰る事になり、iPhone 3G S を買った。 予てから、次に帰国する時は、iPhone 3G にしようと思っていた。 勿論、海外ローミングを試すためである。近所の Apple Store で「4 G バージョンを下さい」とか、 「いや、ここで番号を設定して下さい」「海外ローミングもお願いします」 等の無理を言って呆れられた他は、 まあ、無事購入する事ができた *^_^*。(結局 16GB の白バージョン。)
お店の人が力説したとおり、旧 iPhone からの移行は簡単至極。 全部 iTunes でやれてしまう。迷ってしまうような箇所も無かった。 うーむ、呆気ないというべきか、納得できないというべきか:-p ちなみに、それ以降、旧 iPhone は "No Service" となるだけ。 但し、WiFi やメールアカウントのパスワード等はコピーされない。
早速使ってみる。 (私の場合、この段階で試さなかった機能は永久に使わない、という事が多い。)
- ヘッドセットに、音量調節のボタンが着いた。成程これは便利だ。
しかし、ON/OFF と区別がつきにくいのが難。以前のは、ON/OFF
スイッチが効かない事が多くて(もしくは時間とともに多くなって)難儀したが、
それとちょっと似たような苛々を感じる。
- かなり薄くなった。
が、どうも、端の方にテーパを付けただけ、という感じもする。
何しろ、ずっと愛用しているケース(ベルトにクリップで掛ける)に入れても、
然程ゆるゆるでもない。むしろ好都合だが。
- スイッチ類が、小さく、固くなり、またストロークが短かくなった。
ふむ、これはちょっと「何だかなあ」かも。すぐに慣れられると良いけど。
- コンパスや地図アプリの GPS との連動は面白い。
少くとも「簡易ナビゲーター」としては重宝しそうだ。
(このごろ、緊張感が緩んできたのか、よく道に迷うのでした。)
- なんだか電池の保ちが悪くなり、しかも、充電に時間がかかるようになった気がする。
さて、肝心の海外ローミングである。何の偶然か、購入の前の日、AT&T さんから、海外ローミングの案内のハガキが来ていた。(それで、3G の購入を思い出したようなもの。)しかし、要は 「登録するにはこの番号に電話しろ」というだけの事だった (ウェブでできるのは料金の確認位のもののようだ。) 電話してみたら、例によって、長〜い音声メニューと、「2 分待って」と言われて、10 分待たされる凄い「客あしらい」である。 でも、電話に出た女性は前回のお嬢さんに比べると親切で、 英語のおぼつかない客にも丁寧に対応してくれた。 社会保障番号他の結構厳しい身元確認の後、World Traveller に加入する事をお願いしたが、あっさり完了。 $5.99/Mo のこのオプションに加入しても、日本での通話は、$1.69/min である(オプション無しだと $2.29/min)。
完了したとは思うが、実際に電話してみる以外確認のしようがないので、 成田に着いても少々不安であった。実際、Baggage Claim のあたりで荷物を待つ間に Airplane モードを解除したが、"Searching" と表示されるばかりで、なかなか繋がらない。 しかも Data Roaming をオフにする方法が思い出せずに少々焦る。 とりあえず "Data Push" や "Fetch New Data" 等を OFF にしておく。
が、通関を終える頃には SoftBank さんに繋った。 早速、カミさんの携帯 (PHS) に掛けてみる。(当然ながら)うまく繋って、話もできた。 (言うまでもなく +81 が必要。)
その後、娘から SMS が来た。 これまで何度かメッセージを貰った事があるが、 返信の仕方が解らないので無視してきた(「会社を休む時は、SMS ではなくて、ちゃんとメールか電話しろ」とか言って:-p)。 が、バスを待っていて手持ち無沙汰であった事もあり、挑戦してみた。 (あたり前の事ながら)メッセージを入力して、Send ボタンを押すだけ。 なんだ、簡単じゃん。
留守宅(というのも変だが)へ戻った後、Data Roaming の事は忘れて寝てしまい、翌日の夕方になって、Google でやり方を調べて(というか、それが "Data Roaming" という機能だという事を思い出して)やっと OFF にした。 日本から米国へのローミングでの話だが、これを切り忘れて、数日で 6 万円請求された、という実話が身の回りに有るので、少々心配ではあるが、 デフォルトで OFF だったような気もする。
普段は BB Mobile Point で十分なのだが、 しかし偶にどうしてもこれ Data Roaming を使いたい事もある。 で、時々 ON にして使ってみた。WiFi の Mobile Point と比較してしまうせいか、かなり遅いような気がする。 (少くとも GSM のデータ通信より速いとは思えない。) でもまあ、メールチェックができたり、地図を利用できるのはありがたい。 (しかし、「忘れないように切っておかねば」となんだか緊張してしまう:-p)
かつて、3G 携帯電話の開発に携わった事がある身としては、「3G って、こんなに凄いんですよう」と吹聴して歩いた事の一つを体験した訳で、 (「今更」という事は於いておいて)感慨深いものがある。 が、考えてみれば、GSM ではキャリア(引いては国の間)のローミングは当たり前だったし、 通話料も然程高くはなかったような気がするなあ。 つまり、3G は大幅に(通話・データ双方の)ローミング料金を下げなければ、 GSM に対してあまりメリットが無い事になる。 (日本へローミングができるようになった、というのは、 「メリットを得た」というより、「ハンディを克服した」と言うべきだろう。)
2009-08-01 (Sat): やっぱりな(その十)
「やっぱりな」では、ずーっと 「麻生さん、さっさと解散・総選挙しなはれ」と主張し(呟き)つづけてきたが、 いざ解散になってみると、やっぱりなんだかなあ、である。 もう二ヶ月足らずで任期満了なんだから、何で今頃?との疑問がまず第一に浮ぶ。 都議選で惨敗したのを受けて「麻生下し」が吹き荒れるのを防ぐ、 という狙いか?そもそも「選挙の顔」として総裁・総理になったのだから、 「選挙が戦えないから辞任しろ」という自民党内の声は「聞こえません」でいいけど、 誰からも応援演説のお声がかからない、というのが憐れを催しますなぁ。 だから、言わんこっちゃない、さっさと解散しとけば、 ここまで支持率は落ちなかっただろうし、 自民党の同志諸氏にここまでコケにされなかっただろうに。しかし、やっぱり「一体どういうつもりだったんだろ」という疑問は残る。 惨敗しなかったにしても、政権交代を防げなかったら総裁辞任は免れない訳で、 なので、「いま辞めないで、 負けるに決まっている選挙に打って出る(で、やめさせられる)」 という了見が解らんなぁ。 とは言うものの、これまで麻生さんのおっしゃる事を「なる程!」 と思った事など殆んど無いので、然程落胆したり怒ったりしてはいない。 しかし、麻生さんが今回私の言う「妥当」な選択をしていたら、 結果的に「三代続いての政権投げ出し」になる訣で、 これはこれで快挙だったのではないかと、ちと残念にも思うのであります。
でもまあ、言われている程は議席を減らす事はないと思いますよ。 だんだん民主党の敵失も出て来ているし、何より都議選で負けすぎたので、 我等日本国選挙民が得意の「バランス感覚」を発揮するような気もするし。 麻生さんが出しゃばって、 あちこちで応援演説したりすると話は違ってくるかも知れないが…… ま、嫌がらせで出しゃばるにせよ、内向き選挙運動に邁進するにせよ、 元気で頑張って下さい。
しかし物は考えようで、ここは「解党的出直し」の好機ととらえる事もでき、そうであれば自民党総裁にとっては、 その構想を打ち出し舵取りをするのが最大の責務の筈。 が、麻生さんにそれは望むべくもないだろう。 かえすがえすも、麻生さんがその就任後、即解散しなかったのは痛い。 僅差で負けて、新総裁で出直しを図る、という理想のパターンが崩れてしまった。 が、一方、解散を巡るドタバタを見た後では、 その再起を担う新総裁が出て来るとはとても思えない。 要は麻生さんの「ためらい」が有っても無くても、 「解党的出直し」ではなくて、「解党的解党」しかなかったって事か?
2009-06-27 (Sat): 浮世離れ
天安門事件の記憶を辿ったり、 イラン大統領選の「おどろおどろしい」成り行きを見たりしていると、 結構気が滅入ってくる。 それらに較べるとこれなどはかなり浮世離れしているが、 たまにはこういう事もないと……
6/25 の NPR のニュースで、土星の衛星の一つ (Enceladus) に「地下」の海があるかも知れない、とやっていた。 地下の (underground) は勿論言葉の綾で、氷の層の下に液体の海水の層が有る、 という意味だろう。 この一連の写真は、JPL の Cassini が昨年 10 月に撮ったものであるが、 今回ニュースになったのは、 この吹き出している氷が「海水」の凍ったものであるとの見方が出てきたから、らしい。 ただ、このジェットそのものの成分を解析したのではなく、 土星の輪の一番外側の氷の解析に基く推測だから迂遠と言えば迂遠ではある。 しかし、単なる水ではなく「海水」であるならば、 生命体が発生する条件としてはかなり有利になるので、期待は高まる。 (次の Cassini の fly by では、ジェットそのものの成分を分析するらしい。)
クラークさんは、2010 では、2001 の映画に倣って TMA-2 の位置を土星から木星の付近へ移動しているが、そんな事をしなくても Europa の代りに Enceladus を舞台にできたのに、と思う。 第一、Enceladus の方が清潔な感じがするし、 「輪」が背景となるシーンも素晴しかったのではないか、と思うのだが。 何より、2010 の「木星を(準)恒星にして Europa の氷を解かし、 知的生命体の進化を早める」というプロットがどうも気に入らない (環境破壊という意味では、地球温暖化なんぞこの比ではない:-) ので、誰か Enceladus を舞台にして新しい "Encounter SF" を書かないかなぁ。
2009-06-06 (Sat): 天安門事件二十周年
もう二十年にもなるのか……。Time 誌の表紙を飾ったこのいわゆる「タンク・マン」 の写真に強く心が動かされた(有り体に言えば泣けて泣けて仕方がなかった) 事が記憶に残っている。 偶然であるが、 その時の記事の一部を書き留めてあったのを見つけた。(何と "mockery" という単語の用例として採ったのだった。)
But in the end, the name of the People's Liberation Army still turned out to be a cruel mockery. (Time, 6/19/89, p.8)人民解放軍が本来守るべき人民を虐殺してしまったことは、 確かに「残酷な皮肉」以外の何物でもない。
それが 1989年 6月 4日の事。翌日、天安門広場の付近の道路でこの「事件」は起きた。 ところで、この写真、 私の記憶では、時間帯は夜で、青年は両手に紙袋を持っていたはずなのだが……
Utube にその動画と 結構詳しいドキュメンタリー が上っていた。(また泣けた。) そこには私が最初に見た写真についても言及されていたが、 これだと露出がアンダー気味で、手前の街灯だけが明るく写っているので、 夜と思っても無理は無かった。 また、紙袋もちゃんと二つ持っていた。 青年は戦車をかなり長い間止めており、 その間には、車体に攀じ上ったりもしているのだった。 (その間に、右手の荷物は戦車の上に残された。)
この青年の名前は Wang Weilin(王維林)だと言われているが、あまり確かではないようだ。 何より生死さえ不明だと言う。(その現場からは、 他の人達が抱きかかえるようにして無事連れ去ったのだが。)
2009-05-23 (Sat): やっぱりな(その九)
例によって「今さら」の観のある当床屋政談であるが……民主党の代表が、鳩山さんに決まった由。公示から投票まで 5日間、しかも国会議員のみの投票で、と決められた時点で、 「鳩山さん有利」との観測が流れたが、まさにその通り(やっぱりな)となった。 しかしまた何で今さら鳩山さんなんですかね、民主党の国会議員の皆さん。 岡田さんで小泉さんに惨敗した記憶がまだ覚め遣らないのでせうか。 しかし、今回は相手が
気ずかいと達筆で書く三代目なんだから、こっちも三代目を当てどうする、と思ふのですがねえ。 (本当は「心ずかい」と書いた。)
政策論争は二の次、次の選挙に勝てるかどうかしか頭になく、 なのに、この人では戦へない、と思った人を選挙運動の頭目に置く。 ったく、何を考へてんだか、といふか、旧態依然といふか。 はたまた政治的「想像力」が根本から欠けてゐるといふか。 せめて、岡田さんに政策論争をさせてみて欲しかったなぁ。 小浜さんだって、一年かけて漸く民主党の代表になれたのだし。 (勿論、米国の民主党、その大統領候補、と言ふ意味。名前だけ似てゐてもダメか。)
その鳩山さん、スタンフォード大の Ph.D だとかで、 それに感心する向きもあるやうだが、親か企業が大金持ちなら、 何とか入学できる大学、といふ感じもするし(さう言へば、 かの麻生さんだって、同大の大学院へ行ってた筈)、何より、米国の(一流)大学の Ph.D を沢山見てくると、それだけで感心するのは早計かな、とも思ふ。
それにしても、三代目を党首に選んだにしては、民主党の「反世襲」策は、 なかなか良い線を行ってゐるのではないか。 三親等のものが、同一の選挙区から連続して立候補できない、 といふのは、自民党の笑ってしまうような案にくらべたら、 はるかに実効はあるだらうし、また実行する価値があるとも思ふが、 同時に、どうして「地盤」や「かばん」「看板」が譲れるやうになってしまったか、 の反省も必要だらう。 「後援会」のあり方、政治資金の流れ、利益供与・誘導との関係等々。 そっちの方が、議員の質を決める決定的な要因ではないかと思ふし、 その対策としては、企業・団体献金の全面禁止は除けて通れない。 さう言ふ意味でも、小沢さんがうろちょろしてゐては (しかもそれで選挙に大勝した日には、ますます)改革は遠退くだらう。 うーむ、これでは今回本当に民主党に勝って欲しいのかどうか解らなくなってきたぞ。
2009-05-09 (Sat): やっぱりな(その八)
やっぱり長生きはしてみるもの、のやうである。 「(ちぇっ)やっぱりな」じゃない、嬉しい驚きもあったりするので。 小浜さんの非核化宣言、格好良かったなぁ。 核兵器を使った最初の國としての責任、なんてところには涙ぐみそうになったぞ。 かうしてみれば、藪元のアホぶりが今更のやうに際立ってくる。 いや、核廃絶云々を言ってゐるのではなく、NMD 等は何とかできた筈。 やればできる権限を持ってゐるのに、本人に想像力が無いのか、 ネオコン側近が悪いのか。(多分両方だらう。)もうひとつは、「世襲議員制限」の動き。 しかも、民主・自民両党が申し合せたかのやうなタイミング。 当「床屋政談」の執拗な議員世襲攻撃の甲斐あって、やっと世論が政党を動かしたか。 感慨も一入である。 勿論これは冗談だが、しかし、なんだか日本の政治にも希望が持てるやうな気がしてきた。
しかし、「悲しい驚き」もあって、小沢さんの秘書逮捕。 なんだか、「検察」と言ふか、東京地検こそ「正義の味方」、 といふイメージをあっさり壊されてしまったなぁ。 まあ勿論、田中首相を逮捕した「東京地検」を自民党が放っておく筈がなく、この 30 年間みっちり「政治的圧力」かけてきただらうから、こんな事は朝飯前だらう。 それにしても、小沢さん、なんで党代表を辞任しなかったんだらう。 もともと首相になる気はない人なんだから、ここですっぱり辞めておけば「さすが」 と言ふ事で、麻生さんに引導を渡せたはず。 ここにきて、ふと「首相を張ってみたい」と思はれたのでせうか。
といふ事で、麻生さん、おめでたうございます。支持率 30 % を回復しましたね。 新聞各社も驚いてゐますよ。でも、これって、マスコミの露骨な揶揄かも知れない。 逮捕やテポドンのあまりにも良すぎるタイミングのおかげか、なんて言ってゐるし。 逮捕はともかく、まさか、テポドンの発射も、あなたの差金じゃないですよね、麻生さん。 まあ、それにしても、支持率を回復した(少し持ち直した)途端、 「反世襲」に対する自民党議員さん達の巻き返しが、あからさまになったやうで……。 何せ、御大が「超」の字のつく世襲議員だものね。 ここは「やっぱりな」と(今週最初の)溜息をつくしかないか。 しかし、麻生さん、安心してはいけない。小沢さん、きっと何かやりますよ。 総選挙公示後の辞任表明、とか。 そもそも、彼が支持率改善に「協力的」なのは、 他の誰かではなく、あなたに解散して欲しいから、かも知れない。
2009-04-25 (Sat): あれこれ
UPS
これも「通販」がらみだけど、どちらかと云ふと宅配会社への文句かな。 いつも思ふのだが、こちらのシステムって、順調な時は素晴しいのに、 一つ狂うとリカバリーがゑらく難しい。(大昔のこと、レンタカーの契約書 を無くした時など、長期契約を更改するのに店で半日「拘束」されてしまつた。)WBC のグッズを注文したと思ひねえ(って、江戸弁では言うんだっけ。) まづ、発送元が宛名ラベルにアパートの部屋番号の最終桁を書き漏らした。 それを配達しに来た UPS のあんちゃんは、部屋番号が違うので持って帰ってしまふ。 (まづここでアパートの管理人の誰かに渡しておけば、何の事は無かった筈。) しかし彼氏、とにかく持って帰り、不達ハガキを送ってくれたは良いが、 それがまた凄い代物で、インクが濃すぎて文字が潰れてゐる上に、 そもそも荷物を取りに来いと云ふその配送所のアドレスが書いてない……。 電話番号は何とか判読できたので、電話してアドレスを聞いてみた。 コントロール番号が非常に読み難いので、ちょっと辛かったが、何とか聞き出せ た(と思つた)が、スペルアウトしてもらったのに、「通り」の名前を聞き違へたらしい。 Google Map でどうしても出て来ない。UPS のサイトで近所の支店の一覧を見ても、 郵便番号と番地が合致するところが無い……。再度電話を掛けて、 正しい「通り」の名前が解ったが、結局そのアドレスの配送センターは UPS のサイトにも、Google Map にも出てないのだった(これも凄いね)。 しかし、その所番地に行ってみたら幸ひ「センター」はすぐに見付かって、 荷物も受け取れた。が、何とも苛々させられた一日であつた。
ちなみにスペルアウトしてもらってゐながら間違へたのは Ronson -> Oonso。 私は未だに 'R' が聞き取れないと見える。(もしこれが無かったら、 上の右往左往も無かったらうって?うむ、確かに軽減はされただらう。 ……やっぱり文句を云ふ程でも無かったかな。)
松原先生と不肖の弟子
先に、松原正早稲田大学名誉教授の雑誌記事に感心したものの、 連載途中で記事が 途切れてゐて残念、と書いたが、よく見ると、それは HTML に直されてないだけで、 plain text としては全部の記事が揃っていた。 (しかし改行が省かれてゐるので、とても読み難い。 このサイトの主は七年間も恩師の文章を変換するのをサボってゐる訣で、まさに不肖の弟子である。) Emacs の M-Q で fill paragraph しながら読んだが、これはその価値が有った。 その文章の緻密さと歯切れの良さはまさに「感激もの」であった。 特に「自國を愛する爲に、なぜ我々は他國を罵らねばならないのか」のあたりは、 「よくぞ言って下さった」と思ふ程。(でも、逆に同胞には辛辣で、 ご先祖様も含む同胞を、よくもそこまで扱き下ろせるもんだと、 ちょっと感心もし、心配にもなった。) が、その内なんだか飽きてきた。 西部邁、西尾幹二、小林よしのりの各氏の悪文を論ってゐる内は痛快だったが、 御自身が良しとして挙げる文章や逸話が然程面白くも痛快でも無かったから、かな。 また、結局例へば「天皇制」についてはどう思ってをられるのか分らなかったし。 特に最後の号の「狐饂飩」への「反論」は頂けなかったなあ。 やっぱり勝手が違ひすぎると、日頃の冴えが出ないのだらうか。 大体、なんで関西弁で反論しようと思はれたのかが分らない。 何より、そんなに怒ってしまっては、冴えた文章も綴れないでせうに。 あと、瑣末な事ながら、一旦は褒めちぎったらしい「契沖」を、 ここではかなり貶してゐるのも何だかをかしかった。 正字正假名派は、皆さん假名漢字変換に苦労してゐるらしい。SKK を遣へば良いのに。「馬鹿の壁」と「反証主義」
そのサイトの 管理人の Blog に、ちょっと興味深い記事「擬似科学批判としての正かなの立場」が有った。 興味深いと云ふのは、その作者が「反証可能性」を持ち出してゐるのに、 どうもそれをよく理解できてゐないやうに見える事。 科学論に「反証可能性」は「付き物」だらうけど、それを持ち出しながら、 どうしてそんな誤解をするの?とちょっと不思議だった。 が、これはひょっとして養老先生の「馬鹿の壁」 の所為ではなかろうか。5 年以上も前の本と関連が有ると考へるのもちょっと苦しいが、 でも、なんかかう「誤解の仕方」が似通ってゐるやうな気もする。 もし関連が有ると云ふか、原因になつてゐるなら、 「馬鹿の壁」が流した汚染物質(「馬鹿の素」?)は相当な量になりさうだ。 (「壁」には、かういふ誤りが他にも沢山有る事だし。) ただ、このあたりについては、Wikipedia の「反証主義」や「反証可能性」の項目の記述でさへ、なんだか怪しいやうに思へる。 もっと「すっきり」した考へだったと思うけどなあ、と、 自分の理解の方が心配になったが、しかし、同じ Wikipedia でも、 "Falsifiability" の説明は明解であり、また自分の理解が正しかった事を裏付けてもくれた。 偉いぞ、カール・ポパー! と再認識したけど、同時に彼は、Eccles (Jhon C.) さんとともに「微小作用点仮説 (Microsite Hypothesis)」等と云ふ二元論の提唱者でも有った事を思ひ出した。 この仮説は、これ程明晰な科学論をする人が何故やっちまうの? とも思ふやうな俗論であるが、ちゃんと読みなおしてみたい気もする。2009-04-04 (Sat): Region Code 3
通販(死語?)がらみでは、此の処どうもツキがないようだ。
その一:
ThinkPad X200 の内蔵ビデオカメラが Linux から使えるようになったので、それなら iPhone のヘッドセットと合わせたら、他に何も持って行かなくても、出先から Skype できる、と思いついた。iPhone の 4 端子のイヤホンジャック(?)を、TP のマイク端子とヘッドフォン端子に変換するアダプタさえ有れば良い訣だ。 こんな簡単なもの、どこにでも有るだろう……。 しかし、どうも見通しが甘かったようで、Apple Store 始めどこにも置いてない。Web 上でもなかなか見付からなかったが、 "www.showmecables.com" というところで、やっとそれらしいものが見つかり早速注文してみた。納期 1 週間の筈がなかなか届かず、催促したら、「品切れで、 別のモデルを海外から輸入した。そっちでも良いか」という。 「海外って中国か?」と嫌ーな予感がしたが、とりあえず OK と言っておく。結局届いたのは、注文してから 1 ヶ月半後であった。こんなに待たされたのに、 肝心のモノの方ははっきり言って期待外れ。 といっても、よりショボくなったのではなく、あまりに立派すぎ(ゴツすぎ)るのだった。 御覧のとおり 20 cm くらいもある上にかなり硬いので、机の上でかなり場所を取る。また、iPhone 側のレセプタクルもキツくて挿さりにくい。 (おまけに、二つのプラグを識別するのに小さな文字を読ませる、 という処も凄い。)うーむ、これはハズレであった。 仕方ない、TP の内蔵マイクを使えるようにするか、それがダメなら Logitech の WebCam ("QuickCam Communicate MP") を持ち歩く事にしよう。 (これは内蔵のマイクも含めてスグレものである。)
その二:
Amazon.com で Samurai で検索していると 「戦国自衛隊 1549」という DVD がひっかかってきた。 副題(英語のタイトル?)が "Samurai Commando: Mission 1549" だからにちがいない、勿論。 半村良の「戦国自衛隊」はなかなか良かった。 その角川映画も「まあまあ」であったように思う。 で、ちょっと興味を惹かれたので購入した。 しかし実に迂闊な事ながら、再生しようとして初めて、 そのリージョンコード (RC) が 3 になっている事に気が付いた。(RC3 って何処?状態。) これは痛い。今手持ちの DVD ドライブは、RC をあと二回しか変更できないのだった。 見込み通りせめて 2 であれば、ついでに手持ちの日本製の DVD (「たそがれ清兵衛」他)をまとめて見てから RC1 に戻し、 その後は RC2 は Blu-ray ドライブを買うまでおあずけ、とできたのだが。ままよ、と最後の RC 変更に踏み切った。 しかし、そのちょっとした「決心」は報われなかった。 「何これ、ホントに原作は福井さんの小説か?」が最初の感想。 「特撮」がしょぼいし(というか、FSX もしくは SG というより「特撮」がぴったりだし)、 ストーリーも荒唐無稽。でも、そう言えば、 福井さんの小説も時々プロットが苦しい事が有ったような。
「あーあ、損した」と、また RC を 1 に戻しながら溜息をつく。 同時に、「なんで Amazon.com で RC3 の DVD を売ってるんだ?」とか「そもそも、RC なんて何もええ事あらへんがな」との愚痴が出た。
2009-02-28 (Sat): やっぱりな(その七)
麻生総理大臣が、小浜さんに招かれて会ふ最初の外国首脳となつた。 (小浜さんが出かけて行く方は、既にカナダの首相と会つてゐる。) ひらりさんが初外遊の劈頭に日本を訪れた事と云ひ、 現政権における日本の存在感は弥が上にも増してきた感がある。 実に御同慶の至りである。こちらから頼み込んだ、と云ふ噂もあるが、なあに、小一時間だから、 大して迷惑も掛けてゐまい。 しかし、迷惑も掛けてゐない代り、なんだか蔑ろにされてゐる恨みもある。 何しろ、福田辞任の時と同様、NPR (National Public Radio) の 7 時の定時ニュウスでは一言も触れられなかつた。 それでゐて、英国首相の訪米は来る前から報道する。 全く失礼極まる差別待遇である。 ただ、英国首相の方は、英国の銀行(の首脳)を厳しく批判しており、 米国の銀行・証券会社幹部の強欲ぶりに頭を痛めてゐる小浜さんとは、 肝胆相照らすのだらう。(と、NPR は言はんばかりであつた。) 要は、我らが総理大臣様が何しに来たのかさつぱり解らんかつた、 もしくは、それがあまりに「見え見え」だつた、と云ふ事か。 返す返すも失礼な奴等である。
ともあれ、事後の記者会見でも酔つぱらつてゐるやうには見えなかつたし、 一応の外交的成果は上つたのではなからうか。 ただ、選挙民からどう見えるかに就いては、 麻生さんが期待したやうには行かぬだらうと思ふ。
世界第一と第二の経済規模(どちらも重要)、 経済危機の深刻さも同じくらゐ(どちらも大変)、 と云ふ条件の下で、片や、就任五ヶ月で何一つ実行できずにゐる我等が首相、 片や、就任以来僅か一ヶ月強の間に、矢継ぎ早に対策案(合せて百兆円)を議会に認めさせた小浜さん。 なんか、あまりにも対照的過ぎて、 小浜さんの引き立て役になりに行つた観がある。 逆に云ふと、日本の選挙民には「麻生さんのまごまごぶり」 が余計鮮明になつた訳だ。
帰国後、世論調査はまだ無いやうだが、この訪米の御陰で支持率が大幅に持ち直す、 なんて事はまず無いだらう。
しかも、この「えらい違い」はどこから来るかと考へたら、 麻生さんと小浜さんの個人として資質や能力の差と云ふより、 片や圧倒的な得票率で当選したばかり、 片や四年前の選挙で得た多数で辛うじて政権は維持してゐるものの、 支持率は下手をすると 10 % を切るかも、の差、 つまり、云はば「選挙民からの信任の度合い」の差から来るのは明白。 なので、当然次の議論は「早く解散総選挙をしろ」となる。
だから私は止めたんだよねえ、訪米なんか。 まあ尤も、私が心配したのは「辞任三兄弟揃ひ踏み」もしくは 「カラオケ政治の完成」などと揶揄される事だつたのだが。 (「解党的出直しができるかも」と云ふ方も「やつぱりな」になりさうで嬉しい。)
なあんて冗談はともかく、いずれにせよ惨敗は確実になつてきたのだから、 早く解散総選挙した方が良いと思ふよ、麻生さん。支持率 10% 、不支持率 90% なんて事になつてからでは、 もはや何をしても「史上最低最悪の総理」の評判が歴史に残るのは間違ひない。 (ひよつとしたら、自由民主党最後の総裁、になれるかも知れないし。) しかし、今解散すれば、その直後には、支持率 30% は楽だらう。 見易い道理(選択)だと思ふのだが。 まあ本当は、麻生さんの評判なんかよりも、 この経済危機を早く何とかしてもらはねば困る、と云ふ方が切実であるが。 要は、どう見ても麻生さんが真剣に心配してゐるやうには思へない、と云ふ事。
2009-02-18 (Wed): やっぱりな(その六)
中川昭一議員様が財務大臣をお辞めになつた由。居眠りしたくらゐで辞めないといけないんだつたら、 歴代大臣の大半は即クビだと思ふのだが。それとも国会内はいいのか? それつて国会を軽視してないかい? などと弁護を試みるのが虚しくなるくらゐ、 やつぱりあれ(YuTube)は醜態であつた。 私は「日本人として」などとあまり思はない方だが、 それでも見てゐて恥づかしくて居たたまれなかつたぞ。 「自分達の『国』、そして『自分自身』をもっと誇りに思いたい」 とは当の中川昭一財務大臣様の公式サイトの巻頭の言であるが、 今となつては正に「お前が言ふなよ」である。 (しかも、わざわざ英訳をつけて、 外国にまで失笑を買ひに行くこたあ無いだらうと思ふ。 AP 通信さん、こっちは惻隠の情で見逃がしてね。) 中川大臣が即辞任するか、麻生総理大臣が即刻解任するのが妥当だつたと思ふが、 どちらもぐずぐず二転三転して、みつともない事甚だしい。 「恥の上塗り」を絵に書いたらかうなるか。 ご両人は世に広まつてゐるあのビデオを御自身で御覧になつてないのだらうか。 それとも、「あれくらゐは許容の範囲内」だと思つてゐたのか? 実に恐るべきは、二世議員の浮世離れ、である。
いや、本当に恐れるべきなのは、この失態そのものよりも(これも痛いが)、 このやうな方々が、未曾有(みぞゆう)の経済的危機の渦中(うずなか) に有つて、経済政策の策定の中心に居て、かつ対外的対応を統べている事ではなからうか。 右往左往してゐるだけ?それならまだ良い、 察するところ(次の選挙の事以外は)何も考えてゐないやうにも見える。 もうちよつと何とかならんか、と思ふが、これは「無い物ねだり」なのかも知れぬ。 少なくとも上のサイトの「中川昭一が語る」は陳ねた子供の作文みたいだし、 ましてやマクロ経済や経済政策に格別造詣が深いやうには思へない。 ま、その経済政策、右往左往するばかりで些とも進捗してゐないので、 まだ下手を打つてないとも言へるが、 しかし、事ここに至っては、無為・無策は罪である、といふか、 貴重な時間を浪費している。 おかげでまた、(日本だけ)「失はれた 10 年」を経験する羽目になりさうな気がする。 (あんたらがヘマしなかつたら、 日本のエンジニア達は立派に「技術大国」を張れるんだぜ。 と思ふんだが、今度はどうやろか。)
なんでこのややこしい時にこんなややこしい財務大臣(しかも金融担当特命大臣兼務) なんだらうと情けなく思ふが、勿論我らが麻生総理大臣様が選んだのである。 その情けない総理大臣様を選んだのは自公連立政権の国会議員の方々で、 その自公連合を多数党にしたのは、四年前の総選挙である。 さう、情けないのは我々有権者なのである。ほんま情無い。慚愧に堪へぬ。 しかし我々は主権者なんだから、 選んだタマが「とんでも議員」だと解つたとて慨嘆・落胆・総懺悔する必要はない。 次に「もそつと増し」なのを選ぶだけの事。(とりあえず二世議員は避けませう。) しかし、まあ、あの時(四年前)はまんまと小泉節に煙に巻かれてしまつたが、 今度は目にもの見せてくれようぞ。
外つ国の大統領選挙の時は、私は安心して見てゐられた。 所詮は他所の国の事だし、といふのを置いといても、 次に誰が来たつて藪さんより酷くなりやうが無いではないか。 麻生政権の次も、これ以上酷くなりやうが無い気もするが、 しかしあんまり安心はできない。だつて、三選は無い藪さんの時とは違つて、 自公連合がまた勝つて、麻生さん御本人、もしくはそれより酷い方が長期政権を…… といふ可能性も有るのだから。(安倍 >> 福田 >> 麻生……二度有る事は三度有る。) となれば、逆にここは一番麻生さんに頑張つてもらつて (小泉さんからの雜音など聞き流して) 衆院の任期満了まで居座つてもらひたい。で、支持率を 5 % くらゐにしておいてもらへれば猶嬉しい。 そしたら、たらいまわし(による閣僚の単調劣化)には終止符が打てるかも。 情け無さはなお募るけど「安心」はできる。
それにしても、麻生さん、欲をかかずに就任してすぐ解散総選挙をしておけば、 ここまで情けない思ひをしなくて済んだのでは、と思ふのだが。 かうなつたら「麻生下し」の動きが有るは必定、 その前に解散しちまつた方が格好良いのではないですか? 何、「情けない」なんて些とも思つてゐない?ああさうですか。 まあさうでせうな。では、せいぜい居座つて、私の希望通り、支持率を 5 % くらゐまでお願ひします。
Japan's finance minister resignes over disoriented, slurring appearance at G7 summit. Who does he think he is--Joaquin Phoenix?
それと、中川議員様、さすがに恥づかしくなつたのか、 巻頭言を変えられたやうだ。それに曰く
「宇宙飛行」原点はおやじだった。 「成層圏突破」は、 自分の力で成し遂げるしかない。ふーむ、前のみたいに「お前が言ふなよ」とは思はないけど、 その代り何が言ひたいのかさつぱり解らん…… おやぢさん(故中川一郎衆議院議員)の言葉は、 (私とは宗旨は違ふが)一本筋が通つてゐて明解だつたぞ。 とは言ふものの、御子息同様「内容」がよく解らない事も多かつたが。
2009-01-24 (Sat): 多事多難
せっかく賜わったビジネスクラスをないがしろにした天罰が当ったのか、 正月休み明けにこちらに来てからというもの、ロクな事がない。まずは些細ながらも、結構憂鬱な怪我をした。 包丁が床に落ちるのを受け止めようとして、右薬指の先を切ってしまった。 (← ったくドンくさい、情ない。) 大した事ないし、指先の傷は子供の頃から「しょっちゅう」なので、 とりあえず止血して(指の根本を押えて、高くしておく)事なきを得た、 と思ったのだが……。バンドエイドも包帯もない事に気付き、まあいいや、と そのまま寝てしまって、翌朝気がついたら、 シーツにけっこうはっきり血のシミがついていた。 その朝一番で、バンドエイドを買いに走る。
しかしその後も何度も傷口が開いてしまった。 薬指は中途半端にしか使わないので、庇う事を忘れてしまうらしい。 車を運転していて、ワイパーレバー?にもろ傷口をぶつけてしまう (しかも二度!怪我した指を立ててハンドルを握っていた)。キーボードでついつい……。 極めつけは、出張先で、カバンを持ち上げようとして、つい……。 痛みも出血もちっとも大した事ないのだが欝陶しい事この上ない。 何より、米が研ぎにくい。 ご飯一本槍でなくて、パンも食べられるようにしておくべきか、と、ふと考えた。
そのうちに風邪を引いてしまった。 例年、日本から風邪を持って帰る事になっているのだが、 今年は免れたかな、と思っていた。CES にも無事出張する事ができた。 が、それから帰って来てしばらくして、なんだか妙に疲れるな、 と思っていると、いきなりガツンと来た。結構酷くてトイレに立つにもフラフラする。 風邪を引いたら「水を飲んで、暖かくして、寝ている」しかない (最近は葛根湯やしょうが湯にも頼るが)と信じているので、 二日程寝ていたら、大部良くなった。翌日出勤してみる。 酷い声を皆に嫌がられるが、まあ机の前には座っておれた。 次の土日にゆっくりしていれば、すっかり抜けるだろう、と、 土曜日に風呂に入りシーツを替えた。が、あまり気分が良くならない。 頭痛はむしろ酷くなった。 日曜日の朝、右耳が全く聞こえてない事に気付く。 ちょっとパニック。
で、諦めて、月曜日朝一でお医者さんへ行った。 日本語で全て事が済むクリニックであったが、典型的な 3 分診療。 主訴は何ですかと言われて「耳が痛い」というと、 耳をちょっと除き込んで「中耳炎ですね」との診断。抗生物質(処方箋) と咳止めシロップと鼻水を緩和する薬(のお勧めリスト)をもらう。 なーんだ、こんな診断なら俺だってできるぜ、なんて思ったが、 抗生物質は、お医者さんの処方箋が無いと買えない種類である。 (でも、それだって、一昨年別のお医者さんが処方した薬と同じである。) ともあれ、その抗生物質が効いたのか、 一日程で、耳の痛みが取れて、少し聞こえるようになった。 が、セキが止らない。 私は、もともと、耳掃除をしてもらうだけで激しくセキ込むという特異体質なので、 中耳炎になって、みみかきどころか膿が中耳に溜ったら、セキが酷くなるのは、 ありそうな気がする。とにかく、セキ止めが全く効かない。 別の用事で同クリニックから電話をもらったので、ついでにその旨訴えると、 処方箋が必要な奴(強力版?)を処方してくれた。しかしこれも、あまり効かない。
効かないが、少し夜眠れるようになった。(← 効いている、とも言う。) 四五日でセキも大部良くなったが、耳に水が溜っている感じが抜けない。 人の声がどこから来ているのかよく分らないし、 自分の声が頭の中で響き渡るので、会議していると非常に疲れる。
もう少し我慢の子でいないといけないが、まあ風邪は直ったとして良いだろう。 かれこれ十日も経っている。 なんだか、(我流)自然療法がうまく行かない事が多くなったなぁ。 そのせいか一人暮らしへの自信も揺らいできた……
2009-01-10 (Sat): 泡のように消えてしまう贅沢
御自身の対談集(「けっこん・せんか」)によると、檀ふみさんは、 「宝石一個買うんだったら、飛行機でファースト・クラスに乗るほうがいい…… 要するに、アブクのように消えていく贅沢が好き」なんだそうな。 さすが、である。 (「その割には、その先、回数券を使って山手線に乗って帰る」 事を阿川さんに「ばら」されているあたりにも魅かれるが。) 何とか肖りたいものであるが、勿論私などの「泡」はビジネス・クラスどまりである。 でも、考えてみれば、生まれて初めての海外出張と、その後しばらくは、 ビジネス・クラスだった(某 F 社、某 D 社、トシがばれる)ような気がするから、 ひょっとしたら、そんなものは贅沢という程の事は無かったのかも知れない。 (というか、かつてはビジネスクラスは 「エコノミーの正規料金を払ったクラス」という意味だったらしい。)が、ある時、不況の洗礼を受けて、各社一斉に「出張はエコノミー」 「できればディスカウントで」となってしまった。 一時的かと思ったが、その後、ビジネスクラスが復活した、という話は聞かない。 「ディスカウント」の方は、私の場合、当日成田に出かけてみたら、 お目当てのツアーの「屋台」がなくて、チケットが受け取れない、 という事態に陥った経験がある。しかも、そのチョンボをした旅行会社は日曜日でお休み。 その時は出発直前に航空会社に泣きついて事なきを得たが、帰国してから、 「これだけは止めて下さい。恐くて出張できないですよ。」 と半分涙ながらに人事に訴えたけど、勿論聞き入れてもらえる筈もなし(某 D 社。)
という訳で、ビジネスクラスが「高嶺の花」になって、はや、ン十年。 その間、風邪でフラフラの時に(だから、という訳でもないと思うが) スリーパーシート?を恵んでもらった事が一度、 例えば鳥インフルエンザにかこつけて(某 E 社)、 知人からポンとプレゼントされて(某 E 社)、 また、赴任時は特別に(某 O 社)等という事で、 ビジネスクラスにして貰った事が数度あった他は、 公私ともに常にエコノミーであった。
ところが昨年秋、関空から米国への UA の便で、搭乗口でアップグレードしてくれた。 何故かは解らない。チェックインのとき、 機械がまともに動かなくて、かなり四苦八苦したが、その埋め合せなんだろうか。 へー、「塞翁が馬」じゃあ、と喜んでいると、もうひと捻りあって、 おばさん(おばあさん)とツーショットになってしまったのだった。 上品な関西弁(というのも有るんです!)のとても気持の良い方なのだが、 ご本人が話好きの上に、 その話がめちゃくちゃ面白い。だって、彼女の最初の米国出張はプロペラ機で (どうも私が生まれた頃の話らしい)、 ハワイで一度給油する便だったんだとか。 で、言葉が解らないので、乗り遅れそうになって、から始まって……。 要は私自身も楽しんでいた訳だが、 おかげで殆ど一睡もできなかった (ずっと話してた訳ではなくて、自分が寝そびれただけ)。 しかも、ビジネスクラスったって、 UA のはシートが大きいばっかりで、さほど感心もしなかった。 第一、足の裏が何かについてないと、却ってくたびれる。
今回の年末年始の帰省は、 米国→日本の便をビジネスクラスにアップグレードしてみた。 マイレージを流してしまうよりは、と思った訳。 身銭(マイレージではあるが)を切ったせいもあるが、 なんだか ANA のアップグレードはありがたみが違う。 何より、かなり自由にシート各部の傾きを設定できるのが良い。 あとは、ワインがグラスで飲める事かな。 おいしい上に分量の目処がつきにくいので、つい度を過してしまった。 また、オタクとしては専用の AC コンセントが有るのも良い。 いつか書いたように、ThinkPad X200 は、エコノミーのシートにぴったり、というのが自慢なのだが、 ビジネスクラスではこれは自慢にならない *^^*。 でも、AC コンセントのおかげで、あたりが薄暗い中でバックライトが最高輝度になると、 これもまたなかなか良いものである。Linux のヒラギノがくっきり浮き上がって最高。 これで、ばりばり仕事が……と思ったが、 3 時間くらいで打ち止め。体が PC の電池の保ち時間に慣れているので――ウソです。 本当は、大型スクリーンで映画を見たかっただけ。 だのに、うっかり「ぽっぽ屋」なんか見始めたものだから、泣ける泣ける (だって、最初のタイトル・クレジットから涙が出てくる―パブロフの犬状態)。 なので、スクリーンの大小なんて気にしている余裕が泣かった。 お隣の女性は、見ないふりして呆れていたのではなかろうか。
年が明けての帰り(米国行き)の便は、いつもどおり、エコノミーで予約してあったが、 チェックインカウンタで何故かビジネス・クラスに上げてくれた。おお珍しい。 何だか知らないが ANA では初めての経験である。勿論 UA (B747) のビジネスクラスよりも、ANA (B777) のそれの方が値打ちがあるので、これは嬉しい。 しかし悪銭(あぶく銭)身に付かず。 仕事もせず(PC も使わず)、映画も見ず、睡眠も然程取らないで、 成田で買った文庫本(「我謙信なりせば」他)を読んで過してしまった。 要は(往きの便で感激した)主な御利益を殆んど無視してしまった訳だ。 ありがたく享受したのはグラスで飲むワインと、 鯛のなんやらのディナーだけ。(これは本当に美味しかった。 逆に言うと、他のは、まあ、それ程でもなかった?) こういう奴にはアップグレードは勿体ない。 それでも頂けるなら、仕事がつまっている、 非常に疲れている、等で本当に必要な時のために、 rain ticket もらえれば嬉しいのですが、何とかなりませんか ANA 様:-p
285/1,788,215 Taka Fukuda Last modified: 2016-09-24 (Sat) 16:40:37 JST