Lund 通信(遠島日記)

遠山の金さんのセリフに「XXX は市中引き回しの上獄門、YYY には遠島申し つける…」ってのがありましたが、我々もまさにその「遠島」で、一つの部 の殆ど全員が、スウェーデンは Lund (ルンド)という街に流されています。 このページは、そこでの生活を、つれづれなるままに綴ってみよう、という 試み。いつまで続くかわかりませんが、興味が有ったら時々覗いてみてやって 下さい。

目次


Lund 通信 4月号

4/12/01 (Thu)

明日から、イースターがらみの4連休。スウェーデンにゴールデンウィーク なんてものは無いけど、 4月 5月に連休が結構有ります。気候の良い時に 休みを取りたい、というのは人情か。

若い人達は、なんとでもなる(する)けど、おじさん達は放っておくとずっと アパートでくすぶっていそうなので、そういう人達を集めてぱーっとどっか 行くという計画は、 なんと最初の一歩から破綻。 ヨーロッパ中のどこへ行くにも、飛行機はもう切符が無いんだとか。 ふーむ、行楽に「どっと」繰り出すのは日本人だけじゃないのね。 ちょっと安心。

でも愛機 TninkPad が安心している場合ではない羽目に。 出勤前に朝食を摂りながら、rc.sysinit を触っていたら(そもそも、 これが不遜だよな:-) 時間となったので、変更をとりあえずセーブして出勤。別の理由があって、 よく考えもせず reboot したら、なんと立ちあがらない。rc.sysinit に実行パーミッションを与えてなかったのでした。

たった一個のファイルのパーミッションを変える、という事がこんなに難し いとは。正常にブートできれば数秒でできる仕事なのに、そのブートができ ない。正に「缶詰の中に缶切り」状態。 でも試行錯誤した結果、Lilo プロンプトで、init=/bin/sh とす れば、rc.xxx とは無関係に sh に落ちる事が解って一件落着。

ふーむ、コンピュータがらみの話から離れようとしての日記なのに、どうし てもこちらに向いてしまうなぁ。


4/13/01 (Fri)

今日(明日だっけ?)はイースターなんだとか。なんだか良くわからないま まに会社は今日から4 連休。

計画が頓挫してしまって「どっと」繰り出さなければ、仕事をするのが 日本人エンジニアの悲しい性。という事で、 出勤して、一日 GPIB プログラミングをやってました。 でもどうもこのところ不運続き (というか自分が不注意)で、昨日のうっかりミスに続いて今日も機器 の一つを「工場出荷時の設定」に戻してしまってパニック。これ、5桁 1行 のディスプレイとup/down スィッチで、設定時はアドレスとデータを交互に 表示・入力する、等というショボいユーザインター フェースなんですが、何より、「あるアドレスを入力して、enter key」を 押すと上の「工場出荷時の…」になってしまうという仕様が凄い。 手元にマニュアルが無ければ、書いてある数字から逆に何のデータか推定し ようとするじゃないですか。でも、これだと、たまたまそのアドレスに行っ て、さあ中身を見よう とすると、いきなり全部白紙に戻る訳です。

でも、設定はシリアルポートでもできて、こちらからだと、何の設定をして いるか、マニュアルが無くてもわかるようになってるはず。でも、シリアル ポートに繋ぐ端末が無い…。周囲には誰も居ないし、NT や Win2k のHyperTerminal はどうもダム端末になるようにはでき てないようです(私が知らないだけ?)。泥縄でインターネット上をさまよっ たあげく、Linux 用の minicom っていうアプリケーションを見つけてイン ストール、なんとか再設定ができました。

と、悪口を書きましたが、この機器(Sony Tektorinix さんの ET488) は優 れものです。一プロセスから自由にアクセスできるインターフェースとして は、socket が一番手軽だと思いますが、これから GPIB を制御するという コンセプトというか着眼点の優秀さもさる事ながら、両方のインターフェー スの実装もなかなかのものです。つきあい始めて、もう8年くらいにもなる モデルですが、急ぎで GPIB を動かしたい、という時は、私は今でも迷わず この機械を使います。でもあまり売れなかったのか、ファームウェアのバグ フィックスどころか生産そのものも中止。ふーむ、どうしてこうなっちゃう んですかね。


4/14/01 (Sat)

今日はおじさん仲間と近くの街(Malmo)へ買いものに行くつもりだったけど、 体調が悪くて(実は昨日の晩の単なる食べすぎ)、パス。

とは言え、買物はしないといけないので、青空市場にでかける事に。

途中路上で毎土曜日にやってるflea market が今日も盛況、とはいかず (寒い上に 4 連休の三日目)、閑散としてました。 その中にコンピュータのジャンク屋さんが有ったので立ちよってみました。 本当は、店頭のスピーカに付いていた Fujitsu の文字に興味をそそられて、 ふらふらと近寄っていったのですが、暇そうにしていた店番のおにいちゃん に捕まってしまったのでした。いずれにせよ必要だったスピーカが60 クローネ (800 円弱) だというので、手を打つことに。500 クローネ札を出 すと、おつりが無い、 と言う。私も銀行で下したばかりだったので、小さいのは持ちあわせがなく、 「それじゃあ…」と帰りかけると、「まて、まて」と、そのお札を持って近 くの(flea market じゃない普通の)お店へ走って行きました。で、行ったき り帰ってこない。ちょっと心配になったけど、 お店の商品を眺めて「500 クローネでこれがみんな手にはいるなら、 悪くないな」なんてほくそ笑んでると、ようやく帰ってきて、おつりと商品 を渡してくれました(残念:-) 帰ってこなかったら、来週からは私が店番だっ たのに)。

青空市場 も普段に比べると閑散。ご主人の買物が終るのを待ってる ワンちゃんも暇そう。 それでも、特定の店の前には行列ができます。そんなお店の一つで卵を6 個と、 人参を二本買いました。普通は「はかり」で計って値段を決めてるんだけど、 何せ分銅式(?)のはかりの分銅がバカでかいので、 人参二本なんか計れるはずもなく、 おじさん天井向いて決めたにちがいない。で、9 クローネ。安い。でもこれが聞 きとれない。こちらの大抵の人は英語も話すんだけど、お年寄りの中には、 話せない人も居る。「ニ(ャ)ー…」と聞こえるから、9 … なんだろうけど、9 か 19 か 90 か、と悩んでいると背後から、"Nine Krona" と声を掛けてく れた人がありました。

帰って、買ってきたスピーカを早速セットしてみました。 Fujitsu のロゴがお洒落でしょ。真中にあるのは、最新式のトースタで す。CD を焼くやつ、じゃなくてパンの方。そう実は、このテーブルはキッ チンのテーブルなんです。で、私は、キッチンドリンカー兼キッチンサー ファーというわけ。

そうこうしていると玄関のチャイムが鳴りました。 とにかく、このアパートに人が訪ねてくるというのが前代未聞なもんで、 それが自分ちのチャイムだと気付くのに、 ちょっと時間がかかってしまったんですけどね、本当は。 出てみると何と、そこに居たのは 魔女だったのです。小学校の中学年くらいの女の子が、 何かの本で見たイースターの魔女そのものの化粧と扮装で立ってました。そ の魔女さん、にこにこしながら、何かを差し出すんだけど、それが何やら、 どう対応してよいのやら、さっぱり解らない。英語わかるか、と聞くとうな ずくんだけど、どうも解っているような感じがしない。ハローウィンだった ら、お菓子をあげるんだよな、と思いながら、唯一買い置きしてあった Snickers を探してみたけど、慌てているから見付からない。しようがない ので、写真を撮らせてもらって、さよなら、しました。うーん、結局どうす べきだったんでしょうね。今だに謎です。


4/19/01 (Thu)

朝起きてみたら、外は一面の 雪景色。 こちらに来てからも、こんなに積ったのは初めてです。

この雪が前触れだったかのような、エリクソン・ソニーの提携/統合のニュー ス。これが日経ならば、「またかよ」てなもんですが、朝日・NHK が報じてい るので、これはちょっとは真剣に受けとめなければ、という気がしてきまし た。


4/21/01 (Sat)

朝から良いお天気。いつも駐車しているところは、聞けば土曜日の 9-18 だ けは駐車禁止。しかも、 日本人社員の中には実際に罰金を請求された人もいるとか。 という事で、朝から車を移動してきました。

そのついでに寄ってみた、 恒例の flea market ですが、今日は天気が良いせいか大盛況。(なんだか、 いつも行ってるみたいだけど、アパートの前の通りでやってるせいです。) Lundの秋葉 と異名をとる(勿論そんな事を言ってるのは日本人だけ) 件のお兄ちゃんも来てました。でも今日は、 品揃えも少な目だし元気が有りません。AC ケーブルを買いました。10 クロー ネ也。「先週買った、スピーカちゃんと動いてるよ」 と何故か客のこちらがお愛想を言っても、なんだか上の空。


4/22/01 (Sun)

昨日の青空市に行けなかったので、朝からスーパーに買い出し。そしたら何 と、日曜日だけ開店は11時だそうで、あと 30 分以上もある。これが日本な ら、ま、いいか、とばかり本屋さんに寄ったりするところですが、日曜日は 大抵のお店はお休み。(これとっても不便です。土曜日も大抵2 時までなの で、土曜日の午前中にエイヤとばかり買物しないと、しそびれます。でも、 金曜日の晩ちょっと飲んだりすると…。)

仕方ないので、付近をぶらぶら。近くに Dom Kyrkan (ドーム教会? 大聖堂?)が有ります。 見慣れている割には写真を撮ってない事に気付き、何枚か撮ってみました。 (その1) (その2) 周囲が開けていないので、撮るのは結構大変。

通りかかった 騎馬警官もついでにパチリ。 こっそり撮るつもりが、フラッシュが光ってしまい、 ぎろっと睨まれてしまいました。普段は警官の姿を見掛ける事など滅多にな いのですが、今日は黒づくめの機動隊風の警官が沢山集まっていました。デ モ規制かなんかでしょうか。可笑しいのは、乗ってくる自動車。どうもレン タカーらしくて、Avis とかHerz とか車体に大きく書いてあるワゴン車に分 乗してやって来ます。服装がいかめしいので余計に微笑ましい。でも近付い て写真を撮るのははばかられました。

しかし、美しさから言うと、この 大学本部が一番でしょう。 正面も良いですし、 噴水のかえるさえ、なんだか洒落てます。


4/26/01 (Thu)

最初アパートの近くで見かけた時感動して、「ああ写真に撮っとけば良かっ た」とまで思ったのが、この 軍用自転車。 その後も結構あちこちで見かけるので、かなりポピュラーなのかも。でも、 乗っているところを見た事ないなぁ。どんな人が乗るのか見てみたい。


4/28/01 (Sat)

Lund にだって桜は有ります。が、咲くのは5 月に入ってから。

と、思っていたのですが、私のアパートの近くに五分咲きの桜が有るよ、と 同僚が教えてくれました。見れば 今いちの桜ですが、桜の木が有れば、早速 こうなる のが世の習い(ほんと?)。ちなみに、手前のゴミ袋は私の「お席」です。

も一つちなみに、背景の生け垣の向こうは、最前までflea market まで賑わっ ていた通りです。さすがに、道路のすぐ側で宴会をやるのは気が引けたでしょ うが、生け垣のおかげで絶好のサイトとなりました。(でも寒かった。)

そう言えば、flea market の「Lund の秋葉」は店主が変っていました。品 揃えからして、「Lund の秋葉」に間違いないのですが、元店主のお兄さん かな、という感じの人があたりを睥睨してました。


4/30/01 (Mon)

とうとうやっちゃいました、駐車違反。 罰金300 クローネ。 郵便局へ行って支払うんだそうです。 でも、どうしても納得行かない。 自分のアパートの前が昼間はダメというのは言われていたし、 その表示もあるようなのですが、 捕まった道路には何の表示も無いんですよ。

もっと情ないのは、切符にある違反の日時がちょうど花見をしていた頃だ と言う事と、ワイパーにはさまれた切符を知らずに、次の日一日車を乗り回 していた事。いやぁ、汗顔の至り。


Lund 通信 5月号

5/1/01 (Tue)

今日は、家族が来るというので、コペンハーゲン空港まで出迎え。 Sweden/Denmark間の橋を渡ってみたさに、「車で行く」などという私には 一大決心をしたのでした。

行きは思ったよりスムースに事は運びました。なんせ、1 km ごとに空港は こちら、って書いてあるんだから、迷いようがない。でも、橋の手前のゲー トで私はパスポートを差し出したのでした。だって、ここは国境です。 でも、係員のおばさんは、私のパスポートを見てちょっと驚き、 ついでニヤリと笑って「ありがとう、でもお金を払ってね」だと。 頭をかきかき、お金を差しだすと、 "But, thank you for the passport, anyway." とまたニヤリ。 こちらはまた汗顔。でも、なんだか良い気分になりました。

駐車料金の払い方が解らず、出口のゲートからまた戻るという、ささやかな 失敗もありましたが、まあ無事に家族を拾っての帰り道、 チビさん二人のどちらかが撮った 橋の写真 がこれ。「何の変哲もない」を絵に描いたらこのようになるでしょうか。

しかし橋を渡ってからが大変。Lund なんて田舎街は、 道路の行き先表示にそうそうは出てきません。 いきなり Stockholm/Goteberg と Malmo の分れ道に出たりする。 Stockholm とGoteberg と言ったらあなた、180 度は違わないにしても、100 度は方角が違います。しかも、どちらも 300 km 以上の距離にありま す。Malmo (近くの都市) の方へ行こうとするのがふつーの本能ですよね。 でもこれが大間違い。でもすぐ U-turn できました。良かった。


5/2/01 (Wed)

家族滞在一日目。準備不足のお父さんは、もっとも無難そうな、 スコーネ (Sweden 南部) 地方の古城めぐりで家族サービス開始。 とは言うものの、このあたりをドライブするのは、 とっても気持が良かった。

お城だって、なかなかのものです(とは言え、しっかりした城郭というより、 貴族の館というおもむきですが。) Malmo から Ystad を繋ぐE65 沿いに点 在する古城群です。


5/3/01 (Thu)

家族滞在二日目。「ガラスの王国」に一泊で、と何となく予定していたけど、 季節外れの感は否めず、取り止め。代りにマルメ に出かけました。

今日は電車で移動する事に…。でも、車で行けば 20 分で行けるところに、 一時間以上かかってしまった。駅まで歩いて、切符を買うのに難儀して…。 でも、なかなか良い経験…、のはずなのですが子供達は不満顔。

ダウンタウンでの買物などにゆっくりしすぎて?、 主な目的地のMalmoehus (マルメ城博物館) は、着いたらちょうど閉館時間。 しかたないので、 建物の前で記念撮 影。 最近まで刑務所だった、という荒れ気味の建物の上に逆光で、 ちっとも良くありません。

でも、帰り路にたどった運河沿いの路からの風景は最高でした。なかでも Svenska Kyrka (スウェーデン教会) と、 マルメ中央駅 は双璧です。


5/4/01 (Fri)

滞在三日目。今日は、Helsingborg (ヘルシンボリ)に出かけました。

初日の「貴族の館」達より、もうすこし本格的な城を見る事ができました。 Helsingborg の市内にある Kaernan (シェールナン)城と、郊外の Sofiero (ソフィーロ)城です。

Kaernan は、 入口 からして本格的。ただ内部は、 だけが再現されています。この塔のてっぺんからの 眺め はなかなかもの。手前の尖塔は、市庁舎 (どうして、どこもかしこも、 人口数万の市の市庁舎がこんなに立派なんでしょう) と対岸に 「ハムレットで有名な、 クロンボー城」が見えます。「ハムレット…」はもう「みみたこ」 状態になる程聞いたので、敢えて書いてみましたが、 実はどのあたりなのか知りません。

実際に闘うための 武骨な Kaernan と違って、 つい最近までやんごとなき方々が実際に住んでいた、という Sefiero はとても優美です (でも入るのにお金が要ります)。建物だけでなく、 周囲の も、とても綺麗でした。妙に幾何学的になってなくて何となく日本風。 その日本風を追及したガラスのオブジェを集めた 建物 も有りました。この「日本風」は私の推測ではなくて、それを指向している、 とはっきり書いてあります。スウェーデンではヤポニスムは、 結構幅を効かせているようです。 (でも、おみやげものやに売っていた、 緑茶の缶には「安茶」と漢字でかかれていました。これ、 深遠な意味が有るのか、それともかいた人が単なる無知なのか、 茶道にたしなみのない私には解りません。)

更に、どんどん北へ走って Kullens の半島の北端へ。そこは、 自然保護区になっていて、 燈台 が有ります。でも、季節が悪いだけかも知れませんが、保護する程の 「自然」はどこにあるの?てな感じでした。そこで、我息子は、 ヒルの新種を発見したのですが、残念ながら、写真がピンボケでした。


5/5/01 (Sat)

滞在四日目。今日は、中休みで Lund の市内を観光。土曜日という事で、 flea market と朝市をひやかしてみました。

こういう時は、いささかも物怖じしないウチの奥さん、 野菜を買う に挑戦してみました。


5/6/01 (Sun)

滞在五日目。今日は、コペンハーゲンに出発です。アパートの前で、 がお見送り。 これ、皆野生です。 (葱を買えたら、すぐにでも鍋が…)

これまた、言うもおろかな程有名な 人魚の像 の前で記念撮影。勿論手前のふてた男の子ではなくて、奥の像が人魚です。 まあ、これでアリバイはできた、と。

実は私のお気に入りは、人魚より、ここ アメリエンボー宮殿 の衛兵。でも、衛兵交代の儀式の時に撮ればいいや、と思っているうちに、 忘れてしまって、結局衛兵の写真は撮れずじまい。

コペンハーゲンの街並は、どこもなかなかのものですが、 ひとつだけ選ぶとしたら、私はこの、 Nyhavn の街並 ですね。あと建物なら、この 国立美術館 でしょうか。でも、展示された作品はいまいち、かな。

これまたお決まりのチボリ公園は、どうもあまり良くなくて、そさくさと 隣のタッソーの蝋人形館へ。これは良かったですね。各国の元首が並んだ 部屋の隅で、我が国の (前) 元首 昭和天皇 が、ポツンといらっしゃいました。なんだか冷遇されてるなぁ。でも、 こっちの部屋 に一緒に並べられなくて良かった。

これまた立派な 市庁舎。 何も言う事はございません。


5/7/01 (Mon)

家族の滞在最終日。飛行機の出発までを、どんな風に過そうかと考えて、衆 議一決したのは、ロイヤルコペンハーゲンの工場見学。 陶磁器の工場なんぞ、 小学校以来何度も見学したはずなのに、これは結構良かった。

ガイド付きツアーに入れてもらって、色々な工程を見せてもらったけど、 やはり面白かったのは 絵付け です。100 年以上も最高級の座を占めるだけあって、 ブルーフルーテッド柄 なかなかのものです。特に釉薬をかけて焼いた後の方が味が出るあたり、 さすがです。うーん、この際、我が家のハンパものを全部処分して、 ロイヤルコペンハーゲンで揃えるか…。って、勿論冗談です。

最後は、皆をコペンハーゲン空港まで見送り。また、何箇月も会えないか、 と思うと、ちょっと「しんみり」したお父さんでした。


5/24/01 (Mon)

同僚 4 人と、スコーネ地方のすぐ北のスモーランドにある、 通称「ガラスの王国」へ行く事にしました。

出発してしばらく、道路の両側に広がるスコーネの田舎の風景を満喫できま した。特にこのシーズン、 アブラナが一斉に開花するので、畑が 緑と黄色にくっきり染めわけられた風景 を見る事ができます。 (車の中から撮ったので、ちょっと見難いですが。)

しかし好事魔多し。その後、長い間バスに前方をさえぎられていたせいか、 そのバスが居なくなったとたんに、 ネズミ取りに引っかかってしまいました。 罰金は1200 SEK。現金で即支払え、との事。(もし持ってなかったら、 ブタ箱行きか?) 幸いにも、この友人、これを払える程度にはお金を持っていたんです。 (私だったら危なかった。) でも、26 km/h オーバーだから、あと、4 km/h で免停。 国際免許証の免停ってどうなるんだろ、 と興味津々でしたが、まあ無事に釈放された事を喜びたい…。

あとは何とか無事に本日の目的地(カルマル)に着いて、 さっそくシンボルのお城を見に行きました。こちらは、今までより、さらに 本格的なお城 です。 でも、ここも4 時まで。塔の上に上ろうとしたら、閉館まであと15 分しか ないから、と断られました。まーなんとも、手前勝手な言い分ですが、ここ はスウェーデン (客より従業員が大事:-)。しかたないですね。

しかしそこで諦めないのが日本人観光客。 ホテルでくすぶるのは勿体ないとばかりに、 近くにある、オーランド島へ渡る事にしました。 この島には、お城が沢山あるのですが、そのなかの今は廃虚になっている 城 (どっちかつうと城跡ですね) を見学しました。よっぽど由緒正しいんで しょうか、なんと廃虚なのに有料。 それより驚いたのは、その中庭で見た 花嫁さん。 結婚式だけではなく、パーティもここでやるつもりのようでした。 なかなか粋な案ですが、結婚が「廃虚」(ruin) にならなければ良いんだが… と余計な心配をした私でした (こらこら)。


5/25/01 (Tue)

昨日、トナカイさんを食べてしまった人達 (なんと残酷な! 今年はサンタさんが来てくれないぞ) も、 何とかおなかは無事のようで、早くガラスを吹くところを見たい、 と心ははやりますが、見学は 10 時以降と決まっているので、とりあえず Karmar の街を散歩。

早速収穫が有りました。昨日行った Karmar城 が、ここからだと最高の眺めでした。 でも、この交通標識と電線なんとかならんか。 (そう言えば、京都なんかも電線が一杯ですよね。 「景観」という面からは、こっちはもっとなんとかなならんか、と思います。)

もうちょっと行ったら (ごたぶんに漏れず) この街にも 大聖堂 が有りました。これ、とっても威風堂々としてます。Stortorget (大広場)と、 Dome Kyrca (大聖堂) は、どの街にももれなくひとつづつ有って、 まるでそういう法律が有るみたいです。

さあて、いよいよガラス工場の見学です。まず、Orrefors へ行って、ガラスを 吹いている所を見せてもらいました。って言うか、見学コースが有ってそこ へ行くだけ、なんですけどね。 親方?のアップ 工房のロングショット です。紫色のボウルのような物を作っていました。流れ作業で、 途中炉に戻したりもするので、よっぽど気合いを入れて見てないと、 一つの吹き棒(?)が、最終工程の親方のところまで行くのを追えません。 でもこれ、大物だから遠くから見せるには好適なんでしょうけど、 ワイングラスなんかを作っているところも見たかった。

また違う工房 (Boda?) を見学。こちらは土間に降りて真近で見せてもらえます。 これ お皿 なんですけど、どうやって作ったか解ります?この直前、 玉の先を切った状態でくるっと回して、遠心力で開いたんですよ。 見学者からは「おー」というドヨめきが…。 あとこれは、 花瓶になるはずのガラスに模様をつけているところ です。飴細工みたいで、熱い事を忘れて思わず触ってしまいそう。

ガラスの王国と言えばヒットシル (なんというか、食事付のショウ?)、 というくら有名だそうなので、 我々も参加してみました。夕方になって、最初のOrrefors へまた戻って、 工場の脇のバラックへ…。最初の乾杯が終るまで、説明とかいろいろ有って、 やっと料理にありつけました。 味ですか?えーっと、とにかくしょっぱい。毎日食べたくはないですね。

料理はあきらめて、歌とアトラクションに…と言いたいところですが、 当然皆スウェーデン語。皆さんよく話しかけてくれたりして、 雰囲気は楽しめました。と言っても、 外交はうちのお嬢さんが一手に引き受けていたんですけどね。 (おじさん達は、花よりだんご。) この人、 何故か日本よりスウェーデンでの方がもてるそうなんですが、 実際この日も大モテ。 名前を漢字で書いてみせたら、これまた大受け。 (私も一応、自分の名前は漢字で書けるんですけどね。)

こうなったら、 どうしてもガラス吹きで名を上げねば。で、弊社のホープが挑戦しました。 ここまでで既に他の人とは差がついてます。 こんな風に丸くはなかなかならないんです。 隣の親方も目が光っているでしょ。(「む、こやつ、できるな」。) 普通は隣りの女の子のみたいになります。 (これはちょっとひどすぎるか)。 拍手喝采を浴びて、ポーズ。 どうだ、見たか、日本人のクラフトマンシップ。



Lund 通信 6月号

6/1/01 (Fri)

SAS のマイレージサービスは、日本出発の便に使おうとすると、 相当溜めないといけないけど、 コペンハーゲン出発でヨーロッパ内だとかなり気軽に行けてしまいます。 (その分ありがたみも少ない。はしっこい若い人達は、 往復 2 万円くらいの切符を事もなげに見付けてきます。)

で、それを使ってロンドンへやってきました。

いきなり、ロンドンは大都会です (あたり前だ)。 この喧噪、この猥雑さ…。 Lund の片田舎で暮していると、こういうのがちょっと新鮮かつ、ウンザリ。 このダブルデッカー (って言うんでしたっけ、二階建バス) が自分の肩のそ ば 30 cm くらいの所をフルスピードで追い越して行きます。 初めはいちいち飛びのいていたけど、そのうち馴れっこに。

まあ、そんな事はともかく、とうとうやって来ました、 あこがれの大英博物館。 ギリシャ・ローマの青銅器文化から初めたら、 エジプトくらいでくたびれてしまったけど、とりあえず満足。 (足が弱っている。普段の生活を考え直さねば(^^;) でも、また行きたい。

伝説のその図書室も是非見たいものの一つでしたが、 ヘンリ・ライクロフトやマルクスの逸話から想像していたものとは 全く様子が違ってました。 (まあ、 世界最大級の蔵書と街の図書館の閲覧室 (誰でも入館できたらしい) なんて牧歌的な取り合せが、 それ程長く続くはずもないんでしょうけど。) でも、隣の喫茶コーナーでお 茶を飲みました。 (これだけは 記念撮影 しとかねば:-)

帰り道の ピカデリーサーカス。 盛り場にたむろするにーちゃんねーちゃんは何処も同じだなぁ:-) と言いつつ、 自分も同じようにたむろして、 街頭バグパイプ? を堪能しました。 録音もしてみました。殆どただの騒音ですね。


6/2/01 (Sat)

ロンドン滞在 2 日目。大英博物館が終わったら、後は余生みたいなもの。で、 バッキンガム宮殿の衛兵交代でも見ようかな、と出かけたら、 これがなんと、近衛兵総出かと思えるような演習かなにかにぶつかって、 大収穫。なかでも 騎兵 は壮観でした。閲兵 (を想定している) らしく号令一下 宮殿に向って頭右 をしています。こちらは、 制服が黒 ですが、 こちらは赤 ですね。兵種が違うんでしょうが、区別が付きませんでした。

なにしろ何百騎という大軍なので、馬達の落し物も豪勢です。 しかし女王陛下の居城の前にこんなものを放置してはおけない、 という事でしょうか、早速 専用車 が出て後始末してました。

バッキンガム宮殿を背景にした、 Victoria Memorial 。 老いたとは言え、大英帝国の元首の居城。立派ですねぇ。やっぱり デンマークや、スコーネの領主とは格が違うというべきか。

そんな事をしながら待つ事しばし。演習 (パレード?) に出ていた一行が帰って来ました。飽きもせず、また写真を。 今度は、 歩兵 も撮りました。普通の衛兵交代の光景って、こんなもんなんでしょう、 きっと。これはこれで見応えがありますが、 騎馬の兵隊を見た後ではちょっと迫力が…。

この後、ウエストミンスター大寺院を経て 国会議事堂へ。残念ながら、 今は公開の時期ではないそうで、外から見るだけ。しかも、 テームズ河対岸やその上にかかるウエストミンスター橋の上 から見た議事堂の写真 (月並) も撮ったのですが、ピンボケでした。

ちょっと (大部:-) 疲れたので、有名なアフタヌーン・ティーを楽しもう、 とガイドブックに有るお店へ出かけてみました。ドアから一歩入ると、 自分の小汚い服装が急に気になる 雰囲気。ちょっとたじろいたものの、空腹と疲れには勝てず、 ずんずん (おずおず) と店に入って、紅茶とその他腹一杯になるような盛り 沢山のサンドイッチ等を楽しんできました。なあに、 入ってみれば普通のお店 (向こうがどう思ったかは知らないが)、お茶だって、 ティーバッグだったし。


6/3/01 (Sun)

三日目は田舎を見たくて Oxford へ。Paddington 駅から列車で約 1 時間です。 途中原発が有る以外は、スコーネと良く似た風景がひろがっていました。 むしろ、こちらの方が「ちまちま」していて親近感が湧くくらいのものです。

Oxford 駅に着いてみたら、例によって、下調べなど何もしていないので、 「西も東もわからない」状態。ちょうど駅前から、定期観光バス?が出る ところだったので、渡りに船とばかり飛びのりました。でも、これ、 無闇に歩き回るよりはマシだったかも知れないのですが、ガイドは付いてい ても滅茶苦茶な早口で殆ど理解できず、ディジカメは動いている車から撮る にはレスポンスが遅すぎて…、てな状態で、まあーぼーっと風景を楽しみ ました。

なすすべもなく:-) 一周して下車。車上で最初に見たカレッジ (Christ Church College) に行ってみました。イギリスの教育制度も大学の制度 知りませんが、この環境や風景には圧倒されました。見て下さい、 この 建物, この 見晴し。まあ、もっとも後の写真で見えているのは、 別のカレッジの建物らしいので、 最初誤解したようにChrist Charch のキャンパスそのものが こんなに広い訳ではないようなのですが、それにしても、自分が卒業した 某大学の豊中キャンパスと比べてみたら、 「そんなもん、引合いに出したらあきまへんがな」 って感じです。

なんだか、妙にショックが大きかった一日でした。


6/4/01 (Mon)

ロンドン滞在最終日。

最後の日、どこへ行こうか迷ったあげく「倫敦塔」 にしました。でも、やはり混んでいて、入場の際はだいぶ並びました。 入場料も 11 ポンドと結構します。 列に並んでいる時に撮った写真。 ですが、堀に水が無い事もあり、いまいちですね。

でも、内部はさすがに歴史の宝庫で、よく整備もされています。 特に中心部の Armory (鎧の博物館?)は見応えがありました。入っていきな り歓迎してくれる 馬と人おそろいの鎧。 ただでさえ鎧でやたら重くなった人に乗られるのに、 自分にまで重い鎧を着せられて気の毒、 と馬の気持を思いやってしまったのでした。

最初は、楽しく見学していたのですが、 展示されている兵器や装具がだんだん近代的になるにつれ、 気分が重くなってきました。 途中で、スペインから奪ったという拷問の道具の数々を見るに及んで、 気分の重さは最高潮。まあしかし、人間の想像力って、 おぞましい方向にもしっかりはばたくんですね。 拷問の道具ではありませんが、同じところに展示してあった 断頭台とオノ が妙に印象に残りました。 普段から首筋が涼しい生活をしているせいでしょうか:-)

なんだか陰鬱な気持になって出てくると、 城壁の上から タワーブリッジ が最高の角度で見えました。これと、 ここ (倫敦塔) のレストランでやっと試せた fish and chips の美味しさに救われた気分。 普通の味覚を持った日本人なら、 キドニーパイなんかより先にこちらを試すべきでしょう。


6/23/01 (Sat)

昨日は Midsammor (midsummer?) とかでお休み。 夏至の日を動かして前後の土日にくっつけて三連休にするみたいです。 まあ、それは有難いのですが、 街中の店がお休み。いつも行ってるスーパーマーケット までお休みで、かつレストランもお休みのところがかなりありました。

その時点では、あまり深刻ではなかったのですが (「なあに、 明日の土曜日は昼までは開いてるはず」) 、ところが何と、 大抵のところは今日もついでに休み。がっかり。 普段あまり食事にこだわらない独身島流しの人達は、 今頃アパートで餓死しているのではなかろうか。

かく言う私も、実はちょうど食料が尽きたところだったので、 スパゲッティで何とかしのいでいます。いくら好きなペパロンチーノでも、 二晩日続けるとちょっとねぇ。きっと匂ってるだろうし。


6/24/01 (Sun)

通勤は車で片道 5 分、という生活をしていると、日本に帰った時怖いから…、 (とかなんとか、理由をつけていますが、本当は走った後気分が良いので、) ときどきジョギングしています。街中どこも絶好のコースですが、 石畳はちょっと走り難い。 で、自然近所の公園の中を走り周る事が多くなります。

ある朝、白鳥の家族が生れたばかりのヒナ達を真中に、 お母さんとお父さんが前後についてきれいに一列になって、 自分の目の前の小道を横切っていくのを目撃。 なんとも微笑ましくて、これは何とか写真に撮りたい、 と、その後何回かカメラをぶらさげて走っていたのですが、 そんな絶妙なシーンにそうそうぶつかるはずもなく、 ちょっと前にやっと 撮ったのがこれ(6/9/01)。

今日も見かけたけど、 子供たちはまた大きくなっていて、もう周囲のカモと同じくらいに…。 「みにくいアヒルの親」 になってました。(< お粗末なオチだ。) 手前の一羽がカモ、奥のが白鳥の家族です。


Lund 通信 7月号

7/1/01 (Sun)

日本人エンジニアの多くがそろそろ帰国しはじめる時期となったので、 現地のボスが、Summary Party と称して、 滞在者とその家族全員を自宅に招いてくれました。

わたしゃこういうのが苦手なんですが、一方で、 スウェーデンの家庭ってどんなだろう、とちょっと興味津々でした。 行ってみて、いきなり圧倒されたのが 敷地の広さ。 本人は「この辺じゃ普通だよ」なんて言ってましたが、 なんと900 平方メートル。日本じゃ全然普通じゃないって。

建物 がまた「瀟洒」という言葉を絵にしたような…。こちらは、 日本の住宅の何倍もはないようでしたが、 もちろん小さくはありません。

何よりも、この庭も芝生も生け垣も植え込みも、みーんなここの旦那さん (つまり我々のボス) が週末に作って、手入れしてるんだとか。 (現に、左の方は今現在工事中。) 日本人エンジニア・マネージャの奥様方は、 いたくこれに感動して、「それに引き換え」とばかり 猛烈社員の旦那様の方をみやって、 「働くばかりが能じゃないわねぇ」等と、 それとなく (露骨に?) 批判。 まあ、我々だとて、こういうのも良いな、とは思うので、
「土地が馬鹿高くて、庭なんてとてもとても…」
とか、
「土日しっかり休んで、4 週間夏休み取ってたら、競争に…」
とか、
「通勤に2 時間もかかっていちゃあ、家でこんな事する元気は…」
とかいう反論も、しりすぼみになりがち(^^;

日本じゃ、働けど働けど(働いてたらダメなんだってば)、 こんな生活は夢のまた夢。 「なんでや、 責任者出て来い。」


7/9/01 (Mon)

さる標準化の会議のために、ドイツはベルリンに来ています。

大昔にドイツ語を齧った事があるのでちょっとくらいは… なあんて甘い期待は見事に裏切られ、 空港からバスに乗ろうにも、どう切符を買って良いのやら解らない。 あきらめて、タクシーに乗ったら、空港(Tegel)から、 ダウンタウンのホテルまで、10 分、1,500円で着いてしまいました。 (悩んで損した。) うーん、 成田から新宿までタクシーに乗ったら、えらい事になりそうですよね。

そのタクシーですが、全部ベンツです。生れて一度も、メルセデスベンツと 言うものに乗った事がなかったので、ちょっと緊張。しかし、 これも何てことはない普通の車ですな。(あたり前だって。)

ホテルは最高級でした。普通なら怖じ気をふるうところですが、 会議がそのホテルで有るので、経理の人も納得してくれるだろう (ほんとか?)

さすが最高級ホテルともなると、部屋からダイアルアップするのに、 電話のモジュラージャックを繋ぎ替えて…なんて事はしないのです。 電話とは別にデータ専用の ISDN とアナログ回線が付いてるのだ。凄いでしょ。

でもこれ、何度やってもうまく継がらなくて、一時間程悩みました。

外部へ掛けるのに、普通の電話はゼロ発信なのに、 この回線はそれが要らないのでした。 不要なゼロが有るので、間違った番号になってる訳です。 日本なら優しいNTT のおねえさんが教えてくれるところを、 太い男性の声がドイツ語で何か喚くのですが、解ろうはずもなし。 一方、普通の電話の方で、手でダイアルすると、 ちゃんと掛ってピーヒョロロが始まる…。でも、 こちらにモデムを継いでも、ダイアルすら始めない…。ふーむ、という具合。

So-net さんの「Roaming は無料」という太っ腹なはからいのおかげで、 今やどこへ行くにも、ThinkPad とモデムを持って行き、事もなげに ダイアルアップしていたので、今回も自信満々だったんですがねぇ。 参りました。 いや、人間死ぬまで勉強です。(というか、 自分に柔軟性がなくなっただけのような気もする。)


7/10/01 (Tue)

スウェーデンで散髪をしてもらうのは、一大プロジェクトです。何より、 どんな髪型にされるか解ったものではない。私の元上司など、 GI苅りにされてしまったのでした。それで、 それまで総白髪の「仙人」だったのが「鬼軍曹」に。

それで3ヶ月も一寸延しにしてたのですが、さすがに欝陶しくなり、 一大決心して行くつもりになっていました。 結局その日は急ぎの用事が有って行けなかったのですが、 同僚にその話をすると、「ところで、予約はしてたの?」だと。 どうも、予約が無いとダメらしい。「土曜日はまず予約できないから、 普通は平日に予約して行くんだよ」 とも。こらこら、 会社さぼって散髪行ってどうする。

というくらい大変なんです。で、今日ホテルの中に理容室を見つけた時、 「ダメもと」で入ってみたのでした。

まず、「男はダメ」と言われるかも、という関門はパス。 (だって、外から見た感じがどう見ても「美容院」なので私はわざわざ ホテルのフロントまで確認しに行ったのでした。) お店の人の英語もまあ解る。 (でも置いてあった雑誌は皆ドイツ語でありました。) 担当になった理容師さんは、映画エイリアンのヒロイン(ほら、 何と言いましたっけ、何とかシーガー?) をさらに精悍にした感じの人で、丁寧にシャンプーしてくれて、 首の周りにテープを巻いてくれて…。

「おお、さすがドイツ人は緻密だ。 体中「落ち」だらけになってしまい、 即シャワーに飛び込まないといけなかったアメリカとは違うわい」 と感心したのもつかのま。この人、昔の喜劇に出てくる理容師みたいに、 一回挟みを入れるごとに見栄を切る。それは良いのだが見栄を切る割には、 うまくない。そこらじゅう段々になっていくのが素人目にも解る。 それを知ってか知らずか、一応作業は完了となって、うわっぱり? とテープを私の首から外し、剃刀を使い、 しばらくできばえを眺めていたが、やおらバリカンを取り上げて、 件の段々を均し始めたではないか。段々はあちこちにあるので、 手直しはなかなか終らない。で、段々が目立たなくなるころには お客は毛だらけ。シャツの毛は、ざっと払ってくれたけど、 首の周りは盛大にチクチクするし何やら背中の方まで痒い。

お金を払って、ホテルの部屋まで 成る可く上半身を動かさないようにして歩き、 バスタブへ直行。脱いでみたら、シャツも下着もまさに毛だらけ。 そのまま流したら、排水口が詰まるんじゃないか、 ってくらい沢山ありました。

かくして、スウェーデンでもドイツでも(アメリカでも)、 散髪は一大事業なのでありました。思えば日本の散髪屋さんは良いですねえ。 ちょっと高いのも許したい気分です。


7/12/01 (Thu)

会議は昨日までで無事終ったので(会議の事は何も書いてませんが、 ちゃんと出てましたよ)、今日から二日程お休みを貰って市内観光。

例によって下調べなどはしてないので、西も東もわからない、どこから 始めたらよいか見当もつかないなあ…、と悩んでいたら、 ホテルで貰った市街図は実は市内周遊バスのものでした。で、 取り敢えずこれに乗ってみようと決心。オクスフォードでの失敗に鑑み、 バスには日本語の案内が有る事も確認。

一周2時間くらいのコースを 8 台くらいのバスで常時回って、 市内10個所くらいある停留所で乗り降り自由(15分毎に次のバスが来る)、 というシステムらしい。まあでも最初は通して乗ってみようかな。 これまた、オクスフォードでの失敗に凝りて、 写真を撮るのは最初からあきらめる事に。

で、車上からぼんやり二時間ベルリンの街を眺めてた訳ですが、感想は 「工事が多い」「戦争はやるもんじゃない」「タワーはやめれぇ」です。 でも、まあ、工事が多いのは仕方ないですね。 統一後まだ日が浅いですから。

「戦争はごめん」なのは勿論街の景観を守るためだけではありませんが、 爆撃で街の大半が壊滅してしまうと、 歴史的な街並を元に戻すのは不可能のようです。 あっさりドイツに降伏して市街を守ったと言われるコペンハーゲンとは 比べるべくもなく、 Lund と比べても歴史的な街並はあまり残ってなくて、 「ただの大都会」になってます。

街並までは残ってなくても、歴史的な建物は個別に残っていたり 再現されたりしています。でも、それにおおいかぶさるように、 どこからでも見えるのがこのタワー。街の東半分へ行くと、 本当にどこからでも見えてしまいます。不粋の極み。(この際、 日本での「XXタワー」の汎濫には目をつぶる事にする。)

さて、バスから降りて(ちなみにバスは こんな感じ)最初に訪れる事にしたのは、 ここ、Kurfruestendamm 通り です。通りも確かに綺麗なんですが(なんでもビスマルクがシャンゼリゼ を模そうとしたらしい)、でも、感心したのはこっち、 歩道の上のバイオリン弾き。 燕尾服(?)をキチンと着て、聴衆が居ても居なくても 熱演 してました。


7/13/01 (Fri)

ベルリン滞在五日目。 昨日まわったコースを今日は徒歩で逆に周ることに。

出発点は、 カイザーヴィルヘルム記念教会。 わざとか、手がまわらないのか、爆撃の被害をそのままにしているようです。 (黒く見えるのは焼け焦げているせいで、 露出不足ではありません。)

とりあえずは、クルフュテンダム通りを西へ。途中右へ折れて、 カント通りまで歩く途中、 自動公衆トイレ を目撃。ふーむ、ドイツ的律義さの極み。でも、有料です。

カント通をいいかげん嫌になるくらい歩いて、 ウィルマーソドーファ通りへ。ここは 歩行者天国 です。この道は、ゲーテ通り、シラー通り、を横切って、 ビスマルク通りに出ます。このあたり、カント、ゲーテ、シラー、 ビスマルクが並んでいる訳ですね。

昨日、燕尾服のヴァイオリン弾きに妙に感動したのですが、 今日はこの歩行者天国で、 クラリネット弾き を見かけました。どう見ても小学生くらいにしか見えないので、 皆に聞いてもらいたいのかな、 等とその時は脳天気に思ったのですが、 良く見るとお金を稼ぐ構えですね(ケースの向きに注意)。 ふーむ、お金をあげずに、 写真だけ撮ってしまったぞ。それにしても、 こんな幼い子に稼がせるなんて、どういう…

やっとお目当ての、お城通り(Schloss-strasse)へ。確かに綺麗なのですが、 これまで歩いてきた道も結構きれいなので、とりたてて感動もなし。でも、 並木の間から見えるシャーロットベルク(Sharlottenburg) だけはちょっとしたものでした。その 近景もなかなかです。でも、その中でちょっと不愉快な事が。 撮影に関しては、何の注意書きもなかった(と思う)ので、 「フリードリヒの戴冠式」とかいう大きな油絵を撮ろうとしたら、 おじいさんがやってきて、ドイツ語でまくしたてる。どうも、 撮影してはいけない、と言ってるらしい。それだけなら、 「そうですか、すんません」で済むところだけど、「フィルムを引き抜く」 とかなんとか言ってる(手真似でわかったんですけどね)。「おーお、 ディジタルカメラの『フィルム』を引き抜けるもんなら…」と思った けど、こんな手が震えてるじいさんに渡したら壊されるかも知れん。 さっさとケースにしまって、まだ何か言ってるの聞こえない振りして、 退散しました。すっごく不愉快。 おまけに、門を出ようとしたら、 でっかいビデオカメラでなにやら撮影している一団に 「しっしっ」と言わんばかりに手で追い払われるし…。 良い事なかったなぁ。

そのせいでもないだろうけど、歩き始めてまだ1時間あまりなのに、 なんだか疲れてしまって、次の目的地までは、バスに乗る事に。 バス停で待っているおじさんを捕まえて、いろいろ(まず、 どうやって料金を払うかさえ知らない…)聞いてみました。 その人、あまりうまくない英語で 一所懸命教えてくれました。それによると、乗ってから、 運転手さんに行先を言うと料金を教えてくれるので、それを払う (2.5 マルクでした)。実際これでなんとか乗れたのですが、 周りの人は、誰一人料金を払っている風情がない。 後のドアから乗り込んできて、 目的地に着いたら勝手に降りてしまう。ふーむ、 料金は気が向いた人が払えば良いのか。そんな訳ないですが、謎です。

そうやってついた エルンスト・ロイター広場(Ernst Reuter Platz) は、単なる「でっかい round about」でした。どうも、 ベルリンの「広場」って「え、これだけ?」ってのが多い。Platz って 広場って意味ですよね、確か。

ここからは、6月17日通り(Strasse des 17. Juni、うー、 なんと訳したものか)を歩きます。 ベルリン工科大学 を過ぎると、道路の両側にティアガルテン (Tirgarten、 猟場?) が広がります。

立派な道路に少々飽きてきたので、ティアガルテンの中を通る小道に 入りました。池のほとりに座り込んでふと目にした 対岸の風景。どうみても、地元の人達ですが、 お母さんは日本人です。

この散歩道にもちゃんと名前が付いてます(Bremer Weg)。 まあ何て事はない小道なんですけど、 橋は立派。 これを渡って少し行くと、広い芝生に出ます。他の国同様、 「日なたに芝生」とくると、半裸になって寝っころがる人が沢山います。 いろいろな露出度の人が居るけど、まあおとなしい方かな、 なーんて思っていたら、居ました、究極の二人。すっぽんぽんのうえに、 一人は膝を立てて座って本を読んでいるもんだから…。よくまあ、 「御用」にならないもんだ。

嫌なものを見てしまった後だけに、こちらは余計に壮観。 戦勝記念塔(Siegessaeule)です。 フランスに対する二度の戦勝を記念するものらしい。 2マルク払うと上まで上らせてもらえます。でも、ちょっと大変ですよ、 これ。急な螺旋階段をひたすら上るのです。でも、 上からの眺めは最高。 来し方(西、エルンスト・ロイター広場方面) 行く末(東、ブランデンブルグ門方面)

次の目的地は国会議事堂だけど、 あの螺旋階段で最後の元気を使い果したので、またバス。 (今度は行き先をちゃんと言えなくて冷汗をかきました。) 国会議事堂(Reichstag) は、実際に見てみると意外に小さい建物。その奥は、 庁舎になるはずの建物群 これは思いきりモダンで、右の方に見えてる議事堂とかなり アンバランスと言えなくもない。 写真にもあるように、議事堂の前は見学者で長蛇の列。 見学は諦めました。

そこから、 ブランデンブルグ門 まではすぐでした。でも、やはり工事中。それにしても、 このお間抜けな目隠しは、逆効果だと思うんだけどな。

門をくぐると旧東独領に入って、通りの名前も 「菩提樹通り(ほんまかいな)」(Unter den Linden) に変わります。写真の奥に見えてるのは、ブランデンブルグ門の てっぺんです。

今日はここまで。遅い昼御飯(勿論ビールとソーセージ) を食べて地下鉄でホテルまで帰りました。なんと、ホテルまで30 m のところに地下鉄駅が。ラッキー!

番外編。ここで質問です。ドイツで一番多い通りの名前は?

答は、 Einbahnstrasse (アインバーン通り)。早い話が一方通行ですね。普通は、 どこの国でも、矢印だけですよね。それをわざわざ、 ゴニョゴニョと書き足すから誤解する人が出てくる(私の事ですが。) 実際最初の最高級(まだ言ってる)ホテルの前も一方通行になっていて、 その通りの名前がこうなってるのだと思っていました。

番外その2。なんだか けばけばしい熊 ですが、こういうのがあちこちにあります。何のつもりなんだか 最後まで解りませんでした。熊だけでなく、いろいろな動物、 いろいろな塗装のバリエーションが有ります。


7/14/01 (Sat)

ベルリン滞在六日目。朝早く目が覚めたら雨。読みかけの Dexter, "Remorseful Day" が佳境だったので、これ幸いと、ベッドの中で読み続けました。 でも、8 時ころには雨が上ってしまったので(なんだか残念みたいですね)、 朝食をして出掛ける事に。 昨日は、ウンター・デン・リンデンに入った所で力尽きたので、 今日はその後を続けます。 そこまで歩いたら大変なので、地下鉄に乗るつもり。

さて、ホテルで聞いたところによると、 昨日の私は地下鉄の料金を払った事になってないのだそうです。 1) 切符を買う(2時間有効と一日有効二種類ある)、 2) 2時間有効の開始時間のスタンプを、ホームに有る機械で押す、という二 段階必要なのですが、2) をやってなかったのですね。

今日は、一日券を買ってみました。 これも後から聞いたら、スタンプが要るんだそうです。なんでや、 とその時は思いましたが、今になって思うとその開始時間から 24時間有効、という事なのかも。いずれにしても、 どちらも結果的に無賃乗車になってしまった。それにしても、 バスの時にも不思議だったけど、切符を買ったり、 スタンプを押している人が殆んど居ない。どうなってるんだろ。

でも、その前にカメラの電池を買わねば…。 これまで三日四日なら十分保ったので、充電器を持参してないのでした。 普通の単三でも良いのだけど、これがどこにも無い。 というか朝早いせいかそもそも開いてるお店が殆んど無い。うーん、 コンビニが欲しいぞ。仕方ないので初日にたまたま見付けた オリンパスのお店へ。やっぱりまだ開いてなかった。 しかも開店時間がどこにも書いていない。でも、 モールの他のお店はどこも10時からだから、もうすぐだ。あれぇ、 10時になったのに開く気配がないなぁ。等とあきらめかけたところに、 お兄さんがやってきて、バタバタと開店準備。遅刻したに違いない。 商売っ気ないね、と思ったけど、どっこい電池4本で12DMも取られた。

さて、ようやく出発。地下鉄でコッホ通りまで行くと、そこからは Charlie check point がすぐそばです。ここはまだベルリンの壁が有った頃、 西側(アメリカ)の歩哨所 が有ったところ。でも辺りに壁はないし、 ひっきりなしに人と車が往来しているし、 なによりもこの お間抜けな顔写真。 ル・カレの小説や、チャーリィ・マフィン シリーズで想像するような 「暗い緊張感」は微塵もありません。ふむ、ちょっと拍子抜け。しかし、 その隣に博物館が有り「その暗さを忘れてなるものか」 と言わんばかりに力の入った展示をしています。 かなり感動させられてしまいました。 ドイツ降伏直後の東西ドイツの「民主化の競い合い」の時期を過ぎると 人々が西側へ大挙して去るようになったそうですが、 それに対抗するのに、よりにもよって「壁を築こう」等 と決心した時点で東側は負けていたのではないでしょうか。 そこには、人の心の動きに対する想像力が欠けています。

お、今日は何だか藤村信「パリ通信」みたいな乗りだなぁ。 でも我ルンド通信は「パリ通信」に対抗する気はないので、 さっさと観光に戻ります。 (うっかり似た名前にしてしまったのさえおこがましい。)

せっかく地下鉄の一日券を買ったのに、何を思ったか、 そこからウンター・デン・リンデンまで地下鉄の路線の上を そのままなぞって歩いてしまいました。疲れたし、 何より、途中で本屋さんを見つけて、 重い辞書を買う等という馬鹿な事をやらかしてしまった…。

さて、ウンター・デン・リンデン。このあたりは古い建物が良く残って (修復されて?)います。 ドイツ国立図書館とか、 フンボルト大学本部 ベルリン市立図書館。Staat = state で、Stadt = city だったんですね。忘れてました。

屋台に立ち寄って、カレーソーセージ(Currywuerst)とビールで昼飯。 すっかりはまってしまって、昼も夜もこればっかり:-)

食事の最中に、夕立のような強いにわか雨になったけど、 幸運にもパラソルの下に居たので、 慌てて非難場所を捜す人達を眺めながら食事を続けました。 で、もう上ったと思って、席を立つと、 またいきなりザーッと来ました。 持っていたちゃちな折畳み傘では、どうにもならないので、 ノイエバッフェ(Neue Wache)で雨宿り。

まだ少し残る雨の中を、 デモ隊 が行きます。障害のある子供への国(州?)の援助の削減 に抗議するデモらしいのですが、 「おもちゃの兵隊」を流したりして、なんだか楽しそうな行列。 背景は Goethe Institute (ゲーテ協会?)の歴史博物館。 お向いの国立歴史博物館は来年まで工事中です。残念。

さらにちょっと行くと、 ベルリンドーム(私が「タワーが邪魔」とこだわるの、 理解していただけたでしょうか)と 古代史博物館が有ります。古代史博物館の展示品は 古代ギリシャのものが中心で なかなかのものですが、大英博物館を見たあとでは、 感動もの、という訳にはいきません。それより、玄関にあるこの ブロンズ像良いですね。

その後、TVタワーの下まで歩いて、地下鉄でホテルまで帰りました。


7/29/01 (Sun)

長かった(?)Lund 滞在も、いよいよ今日が最終日。今朝まで荷作りで バタバタしてましたが、出発の3時間前になってやっと完了。レンタカーに ガソリンを残すもの癪だな、等とケチな考えを起こして、 郊外の見納めに出かけました。

ところが、行ってみてびっくり。観なれたはずの風景が一変しています。 そう、 小麦が実って、あたり一面の緑が茶色に変ってしまっていた のでした。ちょっと感動もの。(写真にすると、 この広々とした感じが出ませんが。)

春の一斉に芽吹く時期にも感動しましたが、これもなかなか。でも、 思えば、4, 5, 6, 7 月と4ヶ月しか緑に覆われる期間が無いんですね。 なんだか、ちょっと、スウェーデン人に同情してしまいます。

ともあれ、Lund 滞在はこれでおしまい。 Lund 通信もこれが最後になります。 つたない文章と写真を読んで下さって、ありがとうございました。


93/1,059,422
Taka Fukuda
Last modified: Tue Apr 13 12:54:54 JST 2004